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2009/02/22 on air 「マンガ家、浦沢直樹は、どうやって出来たんですか?」            (guest) 浦沢直樹さん

浦沢直樹 原画集・イラストブック 漫勉




浦沢直樹 原画集・イラストブック 漫勉






(オープニング)

「こんばんは、岡田准一です。今夜も始まりました 『Growing Reed』
番組では、毎週一つのテーマの専門家をお呼びして、徹底的に質問。
番組の終わりには “考える葦” として、
僕も皆さんと一緒に成長したいと思っています。

えー、今日はですねえ。
もう、すごい!
すごいゲストの方に、来ていただいています。
マンガを一億冊売った男の異名を持つ、浦沢直樹さんです。

浦沢直樹さんといえば、
現在、映画 『20世紀少年』 の第2章が公開中です。
『20世紀少年』 以外にも、
『パイナップルARMY』 『YAWARA!』 『Happy!』 『MONSTER』 『PLUTO』 といった、
ビッグヒット作品を連発していらっしゃいます。
日本でただ一人、手塚治虫文化賞大賞を、二度受賞しているという、
まさに、日本を代表するマンガ家です。

『20世紀少年』 は、フランスのアングレーム国際漫画祭で、最優秀長編賞を受賞。
日本だけではなく、世界にも、その名を知られています。

えーと、実はですね、僕はですねえ、浦沢さんのことが大好きで。
(笑)大好きっつったら変ですけど、
あのねえ、僕は 言うのも何ですけども、天才だと思ってますねぇ。
やっぱり、なんだろう、こう、
心理描写を描くのはね、マンガじゃないんですよね。日本でもないし。
カット割もねえ、結構、なんだろう、こだわったね。
テンテンテンが結構多いね。
かといって、表情はスッとしてんだけど、なんか考えてんなコイツって考えさせられる、
あのねぇ “無の表情” を描くマンガ家というのかな。
わかるかな?・・・
っていうイメージですね。
それが描ける人って、なかなかいないと思うんですよね。
って勝手に、僕はマンガ描けないのに、評論して申し訳ないんですけども。

最近では、音楽活動の方でも、名が知られている浦沢さんですが、
今日は 『マンガ家、浦沢直樹は、どうやって出来たんですか?』
というテーマで、浦沢さんを徹底解体してみたいと思います。
どうやって、あんなにすごい作品を考え出して、描いているんでしょうか?

J-WAVE 『Growing Reed』
新しい一週間、最初の60分、ぜひ、一緒にお付き合いください。」


(曲)
BOB DYLAN 『LIKE A ROLLING STONE』
Highway 61 Revisited





岡田くん
  「お会いできて嬉しいです!」
浦沢さん
  「いや、こちらこそ。(笑)」
岡田くん
  「ありがとうございます。
  ほんとに今日は、忙しいのに(笑)来ていただいて。」
浦沢さん
  「いやあ、結構、忙しいですよ。」
岡田くん
  「結構、忙しいですよねえ。いま、大変ですよねぇ。
  しかも 『漫勉』 ていう・・・」
浦沢さん
  「はい。」
岡田くん
  「ねぇ。」
浦沢さん
  「25周年記念、画集ですね。」
岡田くん
  「ありがとうございます。あとで、サイン下さい。」
浦沢さん 
  「はい。(笑)」
岡田くん
  「アハハハ!」
浦沢さん
  「ばっちりと。」
岡田くん
  「あとで、サイン下さい。よろしくお願いします。
  大変じゃないですか?いま、もう、締め切りとか、もう。
  今日は、だいじょぶなんですか?」
浦沢さん
  「いや、もう、ずーっとですからね。25年間ずーっとですよ。」
岡田くん
  「・・・そうっスよねぇ。」
浦沢さん
  「締め切りのない日は、ないんですよ。」
岡田くん
  「そうっスよね。」
浦沢さん
  「ずーっと・・・(笑)」
岡田くん
  「アハハハハ!」
浦沢さん
  「ひどい時は、月6回以上ありましたね。締め切りが。」
岡田くん
  「そうですよねぇ。
  どうやって生活してるんですか?」
浦沢さん
  「締め切りをクリアして行く、ってことですよね。」
岡田くん
  「アハハハ!」
浦沢さん
  「ひたすら。」
岡田くん
  「どう、あの、なん・・・
  僕は、あの、目の前にして言うのも何ですけど “天才” だと思ってるわけですよ。」
浦沢さん
  「いえいえ、いや。(笑)」
岡田くん
  「天才で。 マンガで、こう、なんだろう。
  表情がなく、感情を、
  こっちが読み取ろうとするものの表情、描かれる方というか・・・」
浦沢さん
  「ほおぅ・・・なかなか面白い、表現方法ですね。」
岡田くん
  「カット割と、あの、表情があまり読めないんだけれど、
  その人の心情を、こっちがこう、ま、流れもあるんですけど、
  読み取るマンガって、あんまり、他ではない、というか・・・」
浦沢さん
  「あー、はあはあ、はあはあ。」
岡田くん
  「こう、なんだろう、テンテンテンで、なんか、振り向いた時の表情とかっていう、  
  この、表情の絶妙さが素晴らしいというか・・・」
浦沢さん
  「なかなか、あのー・・・いいところに、気がつかれてますね。(笑)」
岡田くん
  「(笑)ほんとですか?
  ほんとですか。ありがとうございます。」
浦沢さん
  「いえいえ、さすがに。」
岡田くん
  「ていうのが、僕は好きなんですよね。
  このカットの、この表情は、すごいな!っていうか、その・・・」
浦沢さん
  「あのー、それこそ、新人マンガ家に、編集者がね、
  ベテラン編集者が言うのは、
  顔の連続『顔マンガを描くな』って言うんですよ。
  で、僕は、何でそれを、そんなこと言うんだろうなって、
  新人の頃から、謎だったんですよ。」
岡田くん
  「うーん。」
浦沢さん
  「で、いわゆる、それがねぇ、どうやら、マンガの顔っていうのは、
  同じ顔を、ずーっと描き続けてるのがマンガ家みたいなかんじの?」
岡田くん
  「うーん。」
浦沢さん
  「イメージがあるんじゃないですかね。それで、僕は、ずーっと、
  演技してるんだから、顔マンガでもいいじゃない、って思ったんですよ。
  同じ顔は、一度たりともないんだから。」
岡田くん
  「うん。」
浦沢さん
  「演技によって、ずーっと流れて。役者さんの演技と、おんなじでね。
  だから、その、顔マンガを描くな って言うかんじが、
  なんでだろうなぁ?って思って、
  で、僕のマンガって、結構、顔マンガなんですよ。」
岡田くん
  「うん。まあ、そうですよね。」
浦沢さん
  「ええ。 だから、おっしゃられた、ね、
  “刻々と演技が変わる”っていうのかな、
  表情が変わって行くっていうかんじを。」
岡田くん
  「もう、ハッ!とする、こう、表情だったりとか、
  で、オォ!っていう、この表情すごいなー! っていう表情、描かれる人って、もう、
  いないですよね。あんまりねぇ。」
浦沢さん
  「いわゆる “泣く、笑う、怒る、睨みつける” ぐらいのパターンの他に、
  その間を埋める表情が、100ぐらい描ければなぁ、とか思ってるんですよ。
岡田くん
  「あー。」
浦沢さん
  「そういうふうに、出来たらいいなって思ってるんですけどね。」
岡田くん
  「そこに、行き着くのは、いつ頃からですか?(笑)」
浦沢さん
  「いや、最初からですよ。」
岡田くん
  「最初っからですか?」
浦沢さん
  「うん。」
岡田くん
  「元々、こう。 失礼ですけど、ほんとにマンガ家を目指してらっしゃったんですか?」
浦沢さん
  「マンガ家を目指す、っていうことは、したことないんですけど、
  マンガは、好きで描いてたんですよ。」
岡田くん
  「うーん。」
浦沢さん
  「それを、職業にしよう、なんていう、その、なんていうのかな、
  大それたことは、思ってもみなかったですね。」
岡田くん
  「うーん。 元々は、何を目指してらっしゃったんですか?」
浦沢さん
  「元々は、まあ普通に、なんつうんですか、堅気っていっちゃ何ですけども、
  まともに、やって行くんだろうなぁと。(笑)」
岡田くん
  「ウッハハハハ! まともに、普通にサラリーマンか、やって。 へーえ。」
浦沢さん
  「案外まともなんで・・・(笑)」
岡田くん
  「うーん。 そういう思いを、こう、込められたのか、
  まず、大ヒット中の『20世紀少年』について聞きたいんですけども、
浦沢さん
  「はい。」
20世紀少年―本格科学冒険漫画 (1) (ビッグコミックス)




岡田くん
  「なぜ、あれを描こうと思われたんですか?」
浦沢さん
  「『20世紀少年』?
  『20世紀少年』 なぜ、あれを描こうと・・・」
岡田くん
  「『MONSTER』の後じゃないですか。」
浦沢さん
  「そうですね。」
岡田くん
  「また、ちょっと違うかんじじゃないですか。
  僕、『MONSTER』大好きで・・・」
浦沢さん
  「ありがとうございます。」
Monster (1) (ビッグコミックス)




岡田くん
  「もう“凍えるほど”好きだったんですけど。」
浦沢さん
  「(笑)“凍えるほど”ね。(笑)うん。」
岡田くん
  「凍えるかんじだったんですけど。」
浦沢さん
  「はい、はいはい。」
岡田くん
  「ま、衝撃的ですよね。
  凍えるような、あの、作品だったと思うんですけど。」
浦沢さん
  「うんうん。」
岡田くん
  「それから『20世紀少年』・・・」
浦沢さん
  「まず『MONSTER』は、あの、いわゆる、なんていうかな、
  その前の、『YAWARA!』ですとかね、そういう作品で、お茶の間に、こう、僕の、
  なんていうかな、マンガが浸透するってことが出来たので、
  で、その浸透具合を、まあ・・・利用してっちゃ聞こえが悪いですけども、
  僕の好きな、そういう、ミステリーとか、そういうものに、
  踏み込めないかな?っていうことで・・・」
岡田くん
  「うーん。」
浦沢さん
  「案外ね、ミステリーみたいなものっていうのは、
  日本のマンガ界では、当たらないから、やめろ、なんて言われてたんですよ。
  当時はね。」
岡田くん
  「うん・・・」
浦沢さん
  「で、やりたいっつっても、結構、NG出たりなんかしてて・・・」
岡田くん
  「うーん。時代的にも、そうだったですよね。」
浦沢さん
  「そうそう。
  でも僕、これ絶対に、みんな面白がってくれる、というかんじがあったので、
  無理を通して始めちゃった、みたいなとこが、あるんですけど。」
岡田くん
  「うーん。
  僕、もう『パイナップルARMY』から好きですから。」
パイナップルARMY (Operation 1) (小学館文庫)




浦沢さん
  「そうですね、あの辺から徐々にこう、種を蒔きつつっていうかんじですよね。」
岡田くん
  「アハハ! そうですね。『パイナップルARMY』からね・・・」
浦沢さん
  「僕、あのう、平気で、案外10年間ぐらい“眠り爆弾”つうかな、
  『パイナップルARMY』でも出て来るけど、
  仕込みに10年ぐらいかけたりするんですよ。」
岡田くん
  「へーえ。」
浦沢さん
  「(笑)」
岡田くん
  「アハハハ! やっぱ、ちょっとおかしい、かんじは、あるんですか?
  10年仕込むって、どういうことですか?」
浦沢さん
  「だから『パイナップルARMY』『MASTERキートン』」
MASTERキートン (1) (ビッグコミックス)




岡田くん
  「はい、はい。」
浦沢さん
  「それで『YAWARA!』『Happy!』みたいなのをやりながら、こう、
  読者・・・に種を植えるというかね。
  そういうかんじて、なんかこう。
  こういうの慣れてね!僕に慣れてね! みたいな感じが、ある。」
Yawara! (1) (ビッグコミックス)



Happy! (1) (ビッグコミックス)




岡田くん
  「あー・・・」
浦沢さん
  「ええ。
  で、10年間ぐらい経つと、なんか、なんとなく慣れてくれるじゃないですか。」


(曲)
JIMI HENDRIX 『FREEDOM』
Experience Hendrix: The Best of Jimi Hendrix





岡田くん
  「自分が生み出したいものと、その、まあ“読者”との、こう、
  バランスって、どう見てるんですか?」
浦沢さん
  「あのー、好き放題やっても、見てくんないと元も子もないので。」
岡田くん
  「じゃあ、何を大事にされてますか?
  エンターテインメント。それとも・・・」
浦沢さん
  「えーと、自分が描きたいものを描くっていうのと、
  それを楽しんでもらうっていうの、両方ですね。
  両方同時に満たすっていうのを、
  どうしたら出来るかっていうことだけ、考えてますね。」
岡田くん
  「うーん・・・エンターテイメントっていう定義では、なんだろう、
  いま、こう、日本は、そんな上手く行ってると思ってますか?」
浦沢さん
  「うーん。ちょっとバランス悪いかもしんない。もっと、出す側が・・・
  実は、お客さんの方は、もっと成熟してるような気がするんですよ。」
岡田くん
  「うんうん。」
浦沢さん
  「だから、出す方は、もっと堂々と冒険して、
  『ここまで来れる?』ってやっても、
  お客さんは、着いて来れる状態になってると思うんですよ。」
岡田くん
  「うん、うん、うん。」
浦沢さん  
  「うん。」
岡田くん
  「ありがとうございます。」
浦沢さん・岡田くん
  「(笑)」
岡田くん
  「そう言っていただけると・・・」
浦沢さん
  「うん。」
岡田くん
  「いっぱい言って下さいよ、それ。浦沢さんが。(笑)」
浦沢さん
  「あ、そうですよね。大事なことですよね。」
岡田くん
  「大事なこと(笑)ですよねぇ。 うーん。
  あのー、じゃあ『MONSTER』の後の『20世紀少年』は、
  これは受ける!っていうのは、あったんですか?」
浦沢さん
  「受ける・・・」
岡田くん
  「どっちかって言うと、自伝的なかんじも、あったんですよね。」
浦沢さん
  「そう。それはもう、一番最初に、2000年が、いわゆる“21世紀が来ちゃう”と。
  21世紀が来ちゃう、って思った時に、それこそね、
  前の『Happy!』っていう作品が終わって、
  それで、週刊誌が終わって、で、あと『MONSTER』一本になったので、その時ね。」
岡田くん
  「うん。」
浦沢さん
  「これは、しばらくね、のんびり行こうと、思ってたんですよ。
  で、『Happy!』の連載が終わって、ほんとに、最後の、最終回の原稿を渡して、
  乾杯して、やれやれって。
  それで、週刊誌なんか、当分やんねーぞ、と思って、
  それで、やれやれと思って、風呂に入ってたら、
  一番最初、第一話の、国連総会の、その、挨拶みたいな、
  『彼等がいなければ、21世紀を迎える事は、出来なかったでしょう。紹介しましょう』 
  つって、
  『20世紀少年!』つって、
  頭に浮かんじゃったんですよ。」
岡田くん
  「フフフ。」
浦沢さん
  「風呂入ってるとき。」
岡田くん
  「あ痛ー!って・・・」
浦沢さん
  「ね。」
岡田くん
  「はい。(笑) 浮かんじゃっちゃ、しょうがない・・・(笑)」
浦沢さん
  「それで、これは、21世紀になる前に、描かなきゃ、
  描き始めなきゃダメな作品だな、と思ったんですよ。」
岡田くん
  「うーん。」
浦沢さん
  「せっかく、休もう!と思ってたのに、思いついちゃったんですよ。」
岡田くん
  「うーん。」
浦沢さん
  「それでねぇ、やらなきゃいけなくなっちゃったんですよ。」
岡田くん
  「(笑)その、モチベーションは、どっから来るんですか?
  ある方、結構、休んだりとか、結構、される方、多いじゃないですか。
  売れて、休んで・・・
  もう、ちょっと疲れた、みたいな、モチベーション上がんないっつって。」
浦沢さん
  「いや、だから、モチベーションもなんも、ないんですよ。」
岡田くん
  「結構、コンスタントに描かれるじゃないですか。」
浦沢さん
  「そう。モチベーションも何もなくって、その、思いついちゃうんですよ。
  んで、いま描かないとダメな作品、思いついちゃうんですよ。」
岡田くん
  「あー。 じゃ、あと何個ぐらい、自分のストックには、あるんですか?
  ストックは・・・」
浦沢さん
  「うーん、わかんない。そん時になってみないと。
  “いま”っていう状態にね。
  そん時の“いま”になってみないと。」
岡田くん
  「こう、例えばじゃあ、プロットが出て来るわけじゃないですか。
  頭ん中に『こういうシーン描きたいなぁ』とかっていうのって、
  もっといっぱいある、ってことですか。」
浦沢さん
  「・・・出て来るんじゃないですか。わかんないまだ、それは。
  その時んなって、あの、あんまり貯め込まないんですよ。
  いわゆる、ストックしないんですよ。
  構想何年とか、そういうの、ないんですよ。」
岡田くん
  「うーん。」
浦沢さん
  「そん時に、ファ!っと思いついちゃうんですよ。
  (思いつい)たものを描いてるだけなんで。」
岡田くん
  「うーん・・・思いつて、
  それはもう、カット割から全部、出て来ちゃうってことですか。」
浦沢さん
  「あー・・・ムードですね。
  この作品の、ムードがわかるっていう、かんじかな。」
岡田くん
  「はぁ・・・・
  じゃあ、もう、思いとしては、自分の自伝的なものも含めた『20世紀少年』・・・」
浦沢さん
  「なってしまうな、っていうのは、その、挨拶が・・・
  この挨拶なんだろう? と、
  『彼等がいなければ、21世紀を迎える事は、出来なかった』っていう挨拶は、
  これはいったい何だろう? というのを考えてるうちに、
  これは、自分の自叙伝みたいなのが、係わって来るなと、思って、
  で、ああ、これは本当に、21世紀になる前に、描き始めなければ、
  っていうんで、1998年の終わりぐらいに描き出したんですけど。」
岡田くん
  「うん。うんうん。そうですよね。」
浦沢さん
  「ええ。」
岡田くん
  「でも、今、映画化されてますけど、
  なんで、自分で監督やらなかったんですか?」
浦沢さん
  「アハハハ! 監督はね。」
岡田くん
  「ダメだった? (言っても)いいのかな。(笑)
  なんでやらなかったんですか?」
浦沢さん
  「監督は、この、堤監督に任せた方がいいですよ。ほんとに。」
岡田くん
  「ほんと、思ってますか?」
浦沢さん
  「うん。あのねぇ、やっぱり、お付き合い、
  映像、今回作るんで、結構、深くお付き合いして。
  僕の性に似合わない、あれは。」
岡田くん
  「アッハハハ! 」
浦沢さん
  「もっと、気が短いですよ。」
岡田くん
  「いや、昔の監督とか、そんなもんですよ。気が短い。」
浦沢さん
  「でねー、割とね、段取りが多い。(笑)」
岡田くん
  「そうですよねぇ。段取りに・・・」
浦沢さん
  「マンガは、適当ですから!
  もう、その場で、思いついたら、紙にペンですから。ほんっとに。
  あっ、思いついた!つって、サッサッサですから。」
岡田くん
  「でもこう、背景の、こう、こういうかんじとかっていうの、全部こう、
  指示とか、いろいろあるわけじゃないですか。」
浦沢さん
  「でも、それは、思いついてから、2週間ぐらいの間に、出来上がっちゃいますから。」
岡田くん
  「うーん。」
浦沢さん
  「そのぐらいのテンポで、ずーっとやってるんで、
  あんな、一年もかけて、なんかやるなんて、僕には無理だなあ。」
岡田くん
  「フフフ!(笑)
  でも、いま、もう、『PLUTO』もありますし『20世紀』も、描き続けてますし、
  締め切りに、ガーって追われ続けている生活が続くわけじゃないですか。」
浦沢さん
  「一個一個ですからね。
  一話一話だったり、一コマ一コマだったりするんで、   
  あのー、長い尺で、レンジでは計ってないないですね、あんまりね。
  それで、気が短いから、一番、最短距離で行こうとしてるんですよ。」
岡田くん
  「うん。」
浦沢さん
  「このドラマを、いち早く、一番最初に、こう、終わらしたいのは、
  自分なんじゃないかと思うんですよ。
  一番短く、したがってるのは。」
岡田くん
  「うんうん。」
浦沢さん
  「だから、長くなるのは、すごく苦手なんですよ。」
岡田くん
  「うーん。結構、細かく、かかわられたんですか?今回の映画・・・」
浦沢さん
  「映画ですか?」
岡田くん
  「はい。いま、2章目のとこ・・・」
浦沢さん
  「シナリオの段階ですね。」
岡田くん
  「その後は、全然。」
浦沢さん
  「ええ。」
岡田くん
  「もう、投げっ放しですか。」
浦沢さん
  「そうですね。はい。」
岡田くん
  「ほーぉ。 ちょっと、もうちょっと行けば良かった、とかって、
  思ってたりしないですか?」
浦沢さん
  「うん。ていうか、やっぱり、そこの先は、監督の作品だと思うんですよ。」
岡田くん
  「うーん。」
浦沢さん
  「それで、だから僕は、どこでバトンタッチするかな、と思ったんですよね。
  いわゆる、今までは、入り口に入る前に、バトンを渡しているような行為が、
  やっぱり、原作マンガの、原作と映画っていうのはね。
  『よろしくお願いします』つって、もう全部、丸投げで、やってたんだけど、
  それの後に、なんとなく、
  なんか、原作者が、いつもみんな、ブツブツ、ブツブツ言ってるなぁ、というんで、
  それだったら、今回は、自分もちゃんと責任を被るところまで行って、
  バトンを渡す、っていうのは、どこまで深く入れるんだろうか、
  という、実験でもありますよね。
  自分にも、責任が返って来ますからね。そうするとね。」
岡田くん
  「うんうん。」
浦沢さん
  「そうすると、なんかこう、
  一緒に作った同志みたいな気持に、なれるじゃないですか。」


(曲)
T REX  『20TH CENTURY BOY』
20th Century Boy: Ultimate Coll (Dig)





岡田くん
  「元々、音楽は結構、ガンガン入って来てますけど、
  音楽とか結構、こだわりを持って、
  内容にもこう、音楽が入って来てると思うんですけど。」
浦沢さん
  「そうですね。今回、サントラで2曲やりましたし、
  あと、ケンヂという男が歌ってる歌は、僕が作った歌ですし。」
岡田くん  
  「フフフフ。すごいですよねぇ、いろんなことやって。」
浦沢さん
  「それも、まあ、中学の時から、やってることですからね。」
岡田くん
  「どんな人だったんですか?」
浦沢さん
  「中学?(笑)
  いまと、あまり変わんないですね、中学。うん。」
岡田くん
  「音楽。ボブ・ディラン好きで・・・」
浦沢さん
  「うん。そうそうそう。」
岡田くん
  「T REX 好きで。」
浦沢さん
  「なんとなく、中学ん時に、全て形成されたかんじ、しますよね。」
岡田くん
  「はーぁ。 友達とバンド組んで。」
浦沢さん
  「そうそう。」
岡田くん
  「へーぇ。」
浦沢さん
  「だから、それから全然。
  だから、それで成長しないっていうふうに見られると、悔しいので、
  『その時に、大人になったんだ』っていうふうに、最近は・・・」
岡田くん
  「フッフフフ!(笑)中学校で、大人んなって・・・」
浦沢さん
  「そう、中一、中二の頃は、成人式を迎えたんですよ!
  っていうふうにいう、言い方に、変えてますけどね。(笑)」
岡田くん
  「ふーん。
  そんなに、衝撃的だったんですか? その頃の時代っていうのは。」
浦沢さん
  「いいや、衝撃的でしたね。
  だから、あの、手塚治虫先生の『火の鳥』を、初めて、ちゃんと読んだのが、中一で、
  で、ボブ・ディランというものを理解したのが、中三のときですから、
  なんか、それで全てが決定しましたね。」
岡田くん
  「うーん。」
浦沢さん
  「なんか『わかった!』とか言ってましたよね。
  何を、わかったか、よくわかんないんですけどね。」
岡田くん
  「アッハハハ!」
浦沢さん
  「中学生がね。」
岡田くん
  「あー・・・でも、手塚治虫さん読んで、感動したっていわれてると思うけど、
  ちょっと、まあ、語弊があって怒られるかもしんないすけど、
  “手塚治虫を越えた”っていう意識はあるんですか?」
浦沢さん
  「ふ?」
岡田くん
  「『PLUTO』を描かれて・・・なん、でしょうねぇ。
  あれは、でも原作よりは、その、浦沢さんが描かれた『PLUTO』の方が、
  僕は、すごい、と思うんですよ。」
PLUTO (1)

浦沢さん
  「時代の流れですよ。」
岡田くん
  「ほーぉ。」
浦沢さん
  「表現方法が・・・」
岡田くん
  「違うからですか?」
浦沢さん
  「そうそう。
  エルビス・プレスリーと、いま、鳴っている音楽の差みたいなもんですよ。」
岡田くん
  「うーん。ふんふん。」
浦沢さん
  「いわゆる、もう、そん時に、全部出ちゃって、やられちゃってる感じがするんですよ。
  僕は。」
岡田くん
  「うーん。」
浦沢さん
  「ほんとにね、何かやろうとして、よく見ると、
  手塚先生、全部やっちゃってるんですよ。
  だから『これは、やってないだろう』なんつってね、いろいろ考えてるんですけど。」
岡田くん
  「“物語は、ギリシャ悲劇で終わってる”みたいなもんですか?
  “神話で終わってる”とか。」
浦沢さん
  「うん。それも近いかもしれないですね。 シェークスピアとかね。」
岡田くん
  「“シェークスピアで終わってる”とか、よく言われますけど。」
浦沢さん
  「そうそう。」
岡田くん
  「そういうもんですか?」
浦沢さん
  「なんか『あ!新しいこと思いついた!』と思ってね。
  で、描いて、しばらく、家にある単行本とか読んでたら、
  『あら!手塚先生、もうすでに、ここでやってるわ』っていうのが、
  そればっかりですもん。」
岡田くん
  「うーん・・・」
浦沢さん
  「だから、よく言うのは、孫悟空がね、遠くへ遠くへ飛んでっても、お釈迦様の指が。
  手の中で飛んでたって話、あるじゃないですか。 もう、そんなかんじ。」
岡田くん
  「もう、やられてるわー!っていうのばっかり。」
浦沢さん
  「うん。実は、やることないんですよ。もう。」
岡田くん
  「(笑)そんなことないじゃないですか。」
浦沢さん
  「いや、ほんと。」
岡田くん
  「じゃ、何をこう、モチベーションに、やってるんですか?」
浦沢さん
  「うーんとね。 みんなが知らないからね。」
岡田くん
  「ハッハッハ!(笑)」
浦沢さん
  「 いまの人達が。」
岡田くん
  「いや、それみんな言うじゃないですか。
  そういうふうに・・・」
浦沢さん
  「だって、DJだって『こんなイカした曲が60年代にあったんだぜ!』
  なんつって、かけるじゃない。
  そしたら『カッコいいっすねー!』なんてなるじゃないですか。
  で、初めて聴くじゃないですか。 あれに似てんですよ。」
岡田くん
  「うーん・・・でも、それじゃ寂しいじゃないですか。
  僕等だって、あるじゃないですか、その、もう、ここでやられてるとか、
  それを、もうちょっとこう、現代風にアレンジしているだけで、やってたりとか。
  そういうことも、多かったりするじゃないですか、物語を、こう。
  芝居だってそうだし、まず、真似から始まるし。
  なんだろう、でもこう、浦沢さんとかは、
  なんか違うものを、見つけてるはずなんですよね。
  こっちの勝手な、あれですけど。」
浦沢さん
  「まあ、もし、そういうのがあるんだとすれば、次の世代の人が、
  なんか、そういうの見つけてくれればいいかな、ってかんじもするけども。
  僕はもう、手塚の手の中、ボブ・ディランの手の中で、
  動いてるかんじでしかないですよね。」
岡田くん
  「うーん・・・」
浦沢さん
  「それ以上は、だって。それ以上は、やりようがないもん。」
岡田くん
  「うーん・・・でも、手に、こう、いろいろ色を塗ることは、されてるじゃないですか。
  手があったら、色をつけ、向きを変えるとか。」
浦沢さん
  「そん中で、イタズラしてみたりね。」
岡田くん
  「(笑)そんだけですか!」
浦沢さん
  「お釈迦様の手に、落書きしたりするでしょ。 そういうことを。
  そういう悪ふざけは、しますよね。ハハハハ!」
岡田くん
  「アハハハ! それだけじゃない気も、するんですけどねー。なんだろうなぁ。
  上手く伝えられないんですけどね。
  すいません、ちょっと、話が全然、それちゃったんですけど。 音楽!」
浦沢さん
  「はい。」
岡田くん
  「その曲ありきで、想像されたのか、構成されたのか。」
浦沢さん
  「曲から発生するっていうのは、ないですね。」
岡田くん
  「・・・は、ない。 うーん。」
浦沢さん
  「あのー・・・っていうかね。
  中学3年の時に、吉田拓郎さんの大ブームみたいなのが、あったんですよ。」
岡田くん
  「はいはい。」
浦沢さん
  「それで『吉田拓郎さんは、日本のボブ・ディランだ』っつって、
  で、ボブ・ディランが大好きで大好きで、っつって。
  ゆーことがこう、喧伝されてたわけですよ。
  それで、あ、じゃあ、ボブ・ディランを理解しないと、
  吉田拓郎のように、なれないんだなぁと思って、
  それで、ボブ・ディランを聴き出したんですよ。
  そしたら、全然、一個もわかんないんですよ。
  『なにこれ?』つって、全然つまんないんですよ。
  でも、悔しくてねぇ、だから『ああ、これ、オレは理解できてないんだ』と思って。
  で、それで、ずーっと毎日毎日、カセットに録ったやつを、ずーっと聴いたんですよ。
  そしたら、ある日、わかったのが、その『LIKE A ROLLING STONE』ていう曲でね。」
岡田くん
  「うん。」
浦沢さん
  「あのー、ほんとにねぇ、上空からカミナリが、自分にドーンと落ちて来るかんじ。」
岡田くん
  「うーん。」
浦沢さん
  「あれは。ほんとに、あんなことないですね、もう、それ以降は、あんまりね。」
岡田くん
  「へーぇ・・・・それが、大きかったんですかねぇ。」
浦沢さん
  「うん。」
岡田くん
  「ふーん・・・」
浦沢さん
  「『なんか、わかった!』つって。」
浦沢さん・岡田くん
  「(笑)」
岡田くん
  「すべてが、ですか?
  すべてが、っていうか、ボブ・ディランは、わかった・・・」
浦沢さん
  「『なんか、いろんなことがわかった』みたいなことをね、
  中学3年の浦沢少年はね。」
岡田くん
  「それ、こう、例えば、なんだろう、
  結構、時代に対するものっていえるじゃないすか。
  『MONSTER』だったら、東ドイツだったりとかっていう、
  時代を象徴してることを書かれたりすることが、多いと思うんですけど・・・」
浦沢さん
  「うん、うん。」
岡田くん
  「それは、ボブ・ディランが言ってる、そういうことだったりとか・・・」
浦沢さん
  「うーんとね。なんだろう? しいて言えば、あー、立ち向かい方?
  何か起きたり、何かを見たときに、どういうスタンスで、それに向かうか?みたいな、
  かんじかな。」
岡田くん
  「はー、はぁはぁはぁはぁ・・・」
浦沢さん
  「で、後に、いろんな、似たような事が、波が押し寄せて、
  いろんな事を、僕に教えてくれる中に、やっぱり、例えば、あのー、
  ビートたけしさんのね『オールナイト ニッポン』とか、聴いてるじゃないですか。」
岡田くん
  「うん。」
浦沢さん
  「で、たけしさんの、その、深夜放送で、バーっと喋ってることの中に、
  ものすごい哲学があるんですよ。
  それも、なんか、似たようなもんなんです。
  どう、対して行くか、どう、処するか、みたいな、かんじのね。」
岡田くん
  「うーん・・・」
浦沢さん
  「そういう、こう、脳みその使い方っていうのかな。」
岡田くん
  「じゃ、そういうところから・・・」
浦沢さん
  「うーん、そうですね。だから、いろんなもん見て、自分が夢中になったものが、
  全部、血肉になってくから。」
岡田くん
  「うん。」
浦沢さん
  「だから、さっきも仰った『なんか、新しいものが』っていうのは、
  だから、それらが合わさって、何か、変な化学反応が起きたら、
  新しい物に、なるかもしんないですけどね。」


(曲)
WHO 『WON'T GET FOLLED AGAIN』
Who's Next






浦沢さん
  「こないだね、うちのスタッフと、ちょっと話してて、
  なんか、いろいろ、ものの考え方みたいの話してる時に、
  自分で『あっ!なんかキザだけど、上手いこと言うな』なんて思ったのはね。」
岡田くん
  「教えて下さい。」
浦沢さん
  「あのー、コンピューターのウインドウを、バッテン付けて、いったん消すと、
  また、クリックして開けなくちゃいけないじゃないですか。」
岡田くん
  「うん。」
浦沢さん
  「だから、それらを、ちっちゃい最小の窓にして残しておくと、
  すぐ立ち上がるじゃないですか。」
岡田くん
  「うん。」
浦沢さん
  「だから、すべてのウインドウを最小にしといて、立ち上げとけ、って。」
岡田くん
  「うーん!」
浦沢さん
  「ゆう、かんじが・・・」
岡田くん
  「うんうんうん。」
浦沢さん
  「あの、こないだ、スタッフと、物事の、そのね、考え方とか、
  画の描く時のやり方で・・・」
岡田くん
  「『消すな!』と。」
浦沢さん
  「立ち上げとく。」
岡田くん
  「立ち上げといて・・・」
浦沢さん
  「そうすると、何かがあった時に『あっ!もしかして、これって、これと関係ある?』
  とか『これで、何か処理できる』とか、いうのが、
  カチャカチャ、カチャカチャって、一瞬にして、速いスピードで出来るでしょ。
  それ、あの、そう、カッコつけてっけど、上手い言い方したな、と思って。」
岡田くん
  「フフフ。(笑)」
浦沢さん
  「フフフフ!(笑)」
岡田くん
  「そういう話、するんスか? 下の人達とかに。」
浦沢さん
  「あのー、いろいろね。
  画を描くときに、どういうふうにやってくれっていうのを、こう、説明するときに、
  これと、これと、これを合わせて、こうやるんだよ、みたいなこととかを、
  説明しなきゃいけないんで。」
岡田くん
  「うんうんうん。『ウインドウを立ち上げとけよ!』って。」
浦沢さん
  「そうそう。」
岡田くん
  「(笑)」
浦沢さん
  「キザだよね。」
岡田くん
  「いやいやいや・・・(笑)
  いいと思いますよ。」
浦沢さん
  「あとは、一点凝視しないようにしているかんじは、自分でも思いますね。
  一点を、ジーっと見つめちゃうと、それが、はっきり見えすぎちゃうんですよ。
  だから、全体を漠然と見るために、なんかこう、
  一点を見ないようにするっていうのかな。
  “半眼で見る”っていうの? 薄目で見る。」
岡田くん
  「うーん。」
浦沢さん
  「そうすると、一点に囚われずに、なんとなく全体が、全体像が見える、みたいなね。」
岡田くん
  「うーん。」


岡田くん
  「何を、一番大事に、生きてますか?」
浦沢さん
  「何を、一番大事にしてるか? 何を、一番大事にしてるかなあ・・・」
岡田くん
  「(笑)生き方、生き方で・・・」
浦沢さん
  「あのー・・・これも最近わかったんですけど、
  『うるさい客がいるなぁ』とか『口うるさいファンがいるなぁ』とか、
  なんかそういう、嫌な、そういう、お客さん、ていうのを、ずーっと頭で想定して、
  それに、なんか追われるように、仕事をしているなって思ったんですけど、
  それが『自分だ』ってことに、気が付いたんですね。(笑)」
岡田くん
  「うーん・・・ふんふん、ふんふん。」
浦沢さん
  「『あぁ!あのタチの悪い客は、自分だったのか!』ってことに、
  最近になって、気がつきましたね。」
岡田くん
  「はーぁ・・・」
浦沢さん
  「うん。そうすると、そのタチの悪い客が、怒るんですよ。下手なことやると。」
岡田くん
  「うーん。」
浦沢さん
  「フッ!」
岡田くん 
  「フフフフフ! わかりますねぇ。」
浦沢さん
  「ねえ?」
岡田くん
  「うん。」
浦沢さん
  「うんうん。」
岡田くん
  「あぁー、そういうことかあ・・・」
浦沢さん
  「それが、もしかすると、手塚先生や、ボブ・ディランに目覚めた、
  中学生ぐらいの時の、自分だとすると、
  『あの子は、いまの自分を見て、ちゃんとファンになってくれるかな?』とかさ。」
岡田くん
  「うーん。うん。」
浦沢さん
  「そういうものに、追いまくられてたのかもしんないですよね。」
岡田くん
  「うーん。これからも?」
浦沢さん
  「あー・・・あの子は、手強いんだ。」
岡田くん
  「ハッハッハ!」
浦沢さん
  「(笑)」
岡田くん
  「中学生時代の、自分は・・・」
浦沢さん
  「あぁ・・・」
岡田くん
  「今、じゃあ、その子は、自分のことを、こう、
  ファンでいてくれてますかね?」
浦沢さん
  「わかんないね!
  案外ね、なんか、ブツブツ言ってそうですよね。」
浦沢さん・岡田くん
  「アハハハハ!」
岡田くん
  「まだ、余力はあるんですか? ま、余力があるっつったら、変ですけど、
  自分の中で・・・」
浦沢さん
  「余力?余力?なんだろう・・・」
岡田くん
  「そんだけ毎日、追われて生活して、たぶん、僕等が想像する以上なプレッシャーと、
  が、あるんだと思うんですけど。」
浦沢さん
  「プレッシャーは、あんまりないですよ。」
岡田くん
  「ほんとですか?」
浦沢さん
  「うん。プレッシャーは、あんまりないな。」
岡田くん
  「プレッシャーは、ないですか。」
浦沢さん
  「うん・・・その子の(笑)その子のプレッシャーだけでね。」
岡田くん
  「自分自身の、プレッシャーだけで。」
浦沢さん
  「そうそう、ええ。」
岡田くん
  「へーぇ・・・
  マンガは、どういう表現方法なんですか? ご自身の中では。」
浦沢さん
  「うん、やっぱり、あのー、それこそ、映画ね、今回も、
  三部作、六十億円っつってね。
  “総製作費”ってなるじゃないですか。
  それが、紙とペンだけっていうね、その、ローバジェットなかんじ。」
岡田くん
  「(笑)」
浦沢さん
  「なんの責任もない!っていうかんじのね。(笑)」
岡田くん
  「ハハハハ! んなこと、言わないで下さいよ! もっと、なんか・・・」
浦沢さん
  「いや、回収しなきゃいけないものが、ないんですよ。」
岡田くん
  「もっと、なんか、あるじゃないですか!」
浦沢さん
  「いやいや、ほんとに。」
岡田くん
  「ほんとですか? “ローバジェット”みたいなかんじですか?」
浦沢さん
  「ローバジェット。 もう、だから、それでプレッシャーがないんですよ。」
岡田くん
  「あー。」
浦沢さん
  「ダメだったら、クシャクシャってやっちゃって、ポイですから。(笑)」
岡田くん
  「ヘヘ!ハハハ! いや、もっと(笑)もっとなんか、夢あること言って下さいよ。」
浦沢さん
  「いやいや、そんなもんなんですって。
  だから、その気楽さ、お気楽さのお陰で、マンガから、いろんな面白いものが、
  どんどん、どんどん、出て来るんですよ。」
岡田くん
  「はー。」
浦沢さん
  「マンガ家は、そういうプレッシャーを、一切、感じた事がないですから。」
岡田くん
  「うーん。うんうんうん。
   でも、マンガで、こう、いろんなことを変えれたりとかするとは、思うんですよ。
  もう、日本の文化ですから。
  産業でも、多大なものがありますし。
  文化ですから、これは、歴史じゃないですか。文化っていうことは。
  だから、大きな存在じゃないですか。
  マンガっていうのは、日本にとっても。」
浦沢さん
  「うん。でも、フットワークは軽いのが、マンガだから。」
岡田くん
  「うーん。」
浦沢さん
  「あっ!なんか、いま面白いの思いついた!っつったら、
  もう、サッサッサッサッサって、マンガ家が、手を動かしだしたら、
  数分で、その世界観が、そこに出来ちゃうんで。
  だから『ねっ、面白いでしょ?』つったら、
  『わー!すげー!』なんつってるんですよ。
  そのスピード感だから。」
岡田くん
  「うん。」
浦沢さん
  「だから、その、一年間かけて、ね。
  セットを作って、CG作ってみたいなのね。
  その時間に、付き合ってらんないんだ。(笑)」
岡田くん
  「いやいや、やってほしかったですよ。
  監督、やってほしかったですけどね。(笑)」
浦沢さん
  「いやいや、マンガは、ほんと、お気楽ですよ。」
浦沢さん・岡田くん
  「アハハハ!」
岡田くん
  「お気楽じゃない労力は、もう・・・
  今後、ないですか? 映画監督をやるとか。
  絶対やった方が、いいですよ!」
浦沢さん
  「僕、ないんじゃないかな。やんないと・・・
  マンガが、面白過ぎるもん。」
岡田くん
  「ほー・・・」
浦沢さん
  「マンガで、いいもん!ていうかんじ。(笑)」
岡田くん
  「絶対、やった方がいいですよ!」
浦沢さん
  「(笑)」
岡田くん
  「絶対、撮れると思いますよ。」
浦沢さん
  「でもね。試しにマンガ描いてみるといいですよ。
  スッゲー楽しいから。(笑)」
岡田くん
  「描けないですもん。 だって、4コマ漫画でさえ、なんかこう・・・(笑)」
浦沢さん
  「アハハハ!」
岡田くん
  「描けないですもん。」
浦沢さん
  「うん。あれはねぇ、ほんと。
   だから、あの技能を身につけたらね、相当、楽しいですよ。
  おもちゃとか、あのー、いわゆる、遊び、いらないですもん。」
岡田くん
  「そっかあ・・・じゃ、描くのは楽しいんですね。」
浦沢さん
  「思いついたら、描いちゃえばいいじゃないですか。」
岡田くん
  「うーん・・・苦痛ではないですか? 苦悩の中の産物、ではないんですか?」
浦沢さん
  「苦悩になるときは、頭の中にあるイメージを、右手が上手く出せないとき。
  そんとき、苦悩になるんですよ。」
岡田くん
  「うーん。」
浦沢さん
  「もっと、こんなにイメージがあるのに、っていうのを、スパーンと出たときに、
  『うわ、すごい!オレの右手、すごいな!』」
岡田くん
  「『全部、この顔、描けた!』っていう。」
浦沢さん
  「そう、脳みその中の物が、スパーンと出せたって。」
岡田くん
  「うーん。」
浦沢さん
  「そういうとき、よく『うわ!マンガの神様が降りて来た』
  とかって言ってるんですけどね、仕事中に。(笑)
  ほんと、脳みその中のものを、ストレートに、スパーンと出す作業なんですよ。」
岡田くん
  「ふーん。スパーンと。」
浦沢さん
  「そう。」
岡田くん
  「味わったことないからなー・・・」
浦沢さん
  「(笑)」
岡田くん
  「味わってみたいですけどねー。」
浦沢さん
  「うん。 ちょっと練習してみるといいですよ。」
岡田くん
  「わかりました。」
浦沢さん
  「(笑)」
岡田くん
  「マンガを、描けるように。
  マンガでいいんですか? ご自身の中では。」
浦沢さん
  「うん?」
岡田くん
  「マンガはマンガ?っていう考え方ですか?」
浦沢さん
  「うーん。」
岡田くん
  「マンガというカテゴリーが、どういう言葉に当てはまるのかなぁっていう・・・」
浦沢さん
  「あーあ!
  僕、マンガって言葉、大好きなんで。」
岡田くん
  「へーぇ。」
浦沢さん
  「うん。 なんか、軽率なかんじがして。(笑)」


(曲)
THREE DOG NIGHT 『JOY TO THE WORLD』
ジョイ・トゥ・ザ・ワールド







(対談が終わって、岡田くんの感想)

「さあ、ということで、えー、浦沢直樹さんと、お話をさせていただきました。
ばっちし、サインもいただいて。
ヘッヘヘ!(笑)『岡田准一さんへ』・・・ね!
僕、もう、めったに、サイン貰うことは、ないんですけど、
もう、ほんとにねぇ。

なんだろうねぇ。 僕、でも、やっぱ、“生み出せる人”が好きなんですよね。
なんか、自分に出来ないから、たぶん。
あのー、生み出せるものを、
企画をしたりとか、こういうのを面白い、とかって言って、
結局、言って、それを例えば、違う人が本にして、とか。
えー、とかじゃないですか。
で、芝居とかでも、肉付けをしたりとか、
えっと、元々のものを作れないんですよ。
その上の、味付けでいる、っていうことを、よくするから、
芝居を出ても、その作品のトータル的に良くなるために、
どうすればいいかってことを、考えてやったりとか、するから、
生み出せる人、尊敬するわけですよね。 すごい、どんなものでも、尊敬するし。
でも、それが、この人は、すごいなー!ってもの生み出せる人は、
もう、ほんとに、羨ましいし、すごいなぁと、思えるわけですよ。

そういう意味では、ねぇ、マンガ家の人とかは、こう、
ないものを画にして、生み出せて、全部、えー、トータル作れて、とか。
ま、脚本家もそうですけど。
だから、僕のまわりは、こう、“生み出せる人”が多いので、
ま、尊敬する人は、周りに、多いんですけど。

僕も、中学校ん時に戻って、やり直せれば(笑)やり直すわけにも・・・
なんかもっと、生み出せる、こう、ねえ。ことを意識づけとけば・・・
でも、いまからでも遅くないのかもしんないですけどねぇ。
どうも、生み出せないんですよねー。
いやまだ、これからだろうと思いながら・・・

でも、ま、今日、お会いできて、ね、すごく刺激的だし。
ラフでいいですよね。 なんか、ラフでいいっていうか、
もっと、ほんとに、切れモンな人かなーと思ってたから、全然こう、ラフで。
お会いできて良かったなぁと、思います。」


(曲)
PROCOL HARUM 『A WHITER SHADE OF PALE』
青い影+4(K2HD/紙ジャケット仕様)






(浦沢さんからの、コメント)

「あの鋭い目で、やっぱり、いろいろと見抜いてますね。
『おっ!感づいてたな』っていう事が、多かったですね。
結構ね、隠し絵のように、いろんなものが、意地悪く隠してあるところに、
岡田さんは、相当、気付かれているような感じがしましたね。

まあ、僕も、こう、楽しいことを・・・描くことで楽しむっていうことを、やってますから、
みなさんは、この、読むことで、楽しむっていうものを、
提供できたらいいなぁと思ってますけど。」



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