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2010/03/21 on air  「落語の世界について教えてください」                (guest) 立川志の輔さん

落語 The Very Best 極一席1000 はんどたおる


落語 The Very Best 極一席1000 はんどたおる


立川志の輔



(オープニング)

「こんばんは、岡田准一です。 今夜も始まりました 『Growing Reed』
この番組では、毎週一つのテーマの専門家をお呼びして、徹底的に質問。
番組の終わりには “考える葦” として、
僕も、みなさんと一緒に、成長したいと思います。

えー、今夜のゲストはですね、落語家の 立川志の輔さんです。
おー、ついに 『Growing Reed』 に、落語家の方が登場します。
実は、僕ですね、立川志の輔さんの落語は 何度も聴いていてですね、
以前、ドラマで、落語の話を やらしてもらうことがありまして、
そのときに、志ん朝さんとか 小朝さんとか 志の輔さんとか、ていうのは もう、
死ぬほど聴いたんですよね。
勉強のためというか、もう、歩きながらも ヘッドフォンで 落語を聴いて みたいな。
クスリと笑う みたいな。 そういうことを ずっと やっていたんですけども、
だから、今日 お会いして喋るのは、すごく嬉しいですね。

立川志の輔さんは、1954年生まれ。
明治大学在学中に、落語研究会に所属。
先輩に 三宅裕司さん、後輩に 渡辺正行さんが います。
卒業後は、演劇をしながら、社会人生活を 続けていたものの、
1983年、7代目 立川談志に 入門。
“志の輔” の前座名で、立川流の落語家となりました。
1990年、真打に昇格。 96年から、渋谷のパルコ劇場で 『志の輔らくご』 を、ほぼ毎年 開催。
今年も 1月に、1カ月公演を行いました。
落語で 1か月連続 っていうのは、ほんとに すごいことですよね。

そのパルコで、2004年に初演した、新作落語 『歓喜の歌』 は、映画、ドラマに なりました。
落語界を盛り上げるために、東西、流派を超えた 落語の研鑽会 『六人の会』 を2003年に結成。
このメンバーが、また すごいんです。
春風亭小朝、笑福亭鶴瓶、9代目林家正蔵、春風亭昇太、立川志の輔、柳家花緑。

まさに いま、落語界のトップランナーである 立川志の輔さんに、今夜は、
“落語の世界について教えてください” というテーマで、お話を お聞きします。

J-WAVE 『Growing Reed』
新しい一週間、最初の60分。 ぜひ、一緒にお付き合いください。」



(曲)
NILSSON 『EVERYBODY'S TAKLIN'』
Pandemonium Shadow Show/Aerial Ballet/Aerial Pandemonium Ballet


岡田くん
  「志の輔さんの、あのー・・・落語って、こう、なんか、
  僕 いろいろ、ドラマで やらしてもらったことが あるんですよ。」
志の輔さん
  「はい、はい、ええ。」
岡田くん
  「落語の。」
志の輔さん
  「うん。」
岡田くん
  「落語って、相当 こう、奥が深かったり 難しいじゃないですか。」
志の輔さん
  「うーん。」
岡田くん
  「そんなかで、志の輔さんの落語っていうのは、なんか、ちょっと違う こう、
  ユーモアだったり 面白さだったりっていうのを出されているっていうの、すごく こう、
  いろんなものを聴いて、感じていたんですけど、僕も。」
志の輔さん
  「あー・・・」
岡田くん
  「それは、どういうふうに こう、なんだろう、
  出されているとかっていうのは あるんですか?」
志の輔さん
  「(笑)」
岡田くん
  「なんかね、いろいろ まあ、唐突で すいません。」
志の輔さん
  「いやいや・・・」
岡田くん
  「唐突で・・・」
志の輔さん
  「でもね、すごく、言ってることが わかるのは、古典落語と新作落語があって、
  古典落語は まあ、江戸時代 あるいは 明治、
  それから、どんなに浅くても 昭和の初め頃に 出来上がったものじゃないですか。
  そうすると、誰が作ったのか わからないんだけれども、
  あるいは、中国の小さな小噺だったり、日本に元々ある小噺だったり、
  短いものを、たくさんの落語家が、いろんな角度から つけてったら、
  3分の話が、30分になってるものが いくらもあるんですよ。」
岡田くん
  「はいはい。」
志の輔さん
  「そうすると、そこに 何が起こるかっていうと、
  各時代を経て、たくさんの落語家が関わって、完璧な台本になってるのが、
  いまの 古典落語なんですよ。
  で、それはそれで ありがたくて、それを、いまの時代に生かそうと思って、
  ギャグを新しくしてみたり、構成を ちょっと変えたり、
  人物のスポットの当て方、ちょっと変えたりする程度で、根本は、古典落語なんですよ。」
岡田くん
  「はいはい。」
志の輔さん
  「新作落語は、自分が作ったものなので、他 誰もやっていないので、
  ほんとに、自分の面白いものだけ。」
岡田くん
  「うんうん。」
志の輔さん
  「だから、古典落語やってると、
  あれ~、これ ほんとに面白い? って 自分で思うことも、ある部分は あるんだけど、
  新作は、絶対に 無いんです。」
岡田くん
  「うーん。」
志の輔さん
  「丸ごと 自分で、自分の好きなギャグしか入ってなくて、
  好きなオチ と、好きな展開と、だから 浅いかもしれないけれど、自分。
  それから、古典落語は、自分が作ってないんだけど、深いんですよ。
  この2種類が、いま、落語の中で、あるんですよ。」
岡田くん
  「元々、きっかけを持ったのは、何だったんですか?
  落語に・・・明治大学、明大に入って、落語研究会に 入ろうと思った・・・」
志の輔さん
  「あー、それは、驚いたもん、だって。
  明大前の 和泉校舎というところへ、一応 合格して、うろうろっと入って行ったら、
  立て看板を持った、和服を着た男の人が いるんですよ。」
岡田くん
  「はいはい。」
志の輔さん
  「なんだよ、この人は。 和服 着て、立て看板 持って、
  『いらっしゃい いらっしゃい、きみ新入生? こっちおいでよ。 寄席やってるから』
  って、何 言ってんだ? この人、と思いながら、
  『まあ おいでよ、タダだから』 って言うから、タダならいいかと思って 行ったら、
  500人ぐらいの 大教室のところで、同じ学生が、
  先輩でしょうな、2年生 3年生 4年生、誰かが、和服を着て 座布団の上に座って、
  その人が 何かを言うと、500人が一斉に、ドーン と笑うのを見て・・・」
岡田くん
  「うーん。」
志の輔さん
  「え? これ、何、これ。 あ、これが、オレが 故郷 富山で、ずうっと、NHK で観てた、
  落語 っていうもんだ! っていうのを、初めて 生で観たんですよ。」
岡田くん
  「へぇー。」
志の輔さん
  「それは それは、衝撃。
  だって、落語は、テレビでやってるときは、うちの おじいちゃんが、
  テレビの中にいる おじいちゃん観て、笑ってるわけじゃない。
  つまり、おじいちゃんが 座布団に座って 喋ってるのを、うちの じいさんが聴いて笑ってる、
  おじいちゃん同士の 楽しみだと思ってたのが、学生が 部屋に入って・・・」
岡田くん
  「それが、大爆笑を起こしてたわけですよね。」
志の輔さん
  「それはね もう、富山出身者にとってはね、18年、富山から出たことのない人間にとっては、
  え、これ、何が起こったんだ?っていうぐらい 衝撃だった。」
岡田くん
  「やりたい! と思ったんですか?」
志の輔さん
  「あ、その瞬間に もう、やりたい! あ、これは やりたい!」
岡田くん
  「あー・・・」
志の輔さん  
  「これは、少なくとも、やめたとしても、やってみる価値は 絶対ある。
  だから、これ やりに、東京 来たんじゃないか、オレは、っていうぐらいの。」
岡田くん
  「衝撃が、あったんですね。」
志の輔さん
  「衝撃。 それで、とうとう 4年間、落語しかやらずに、ほとんど 授業に出ず。」
岡田くん
  「アハハハ!」
志の輔さん
  「見事に、初志貫徹。 何が 初志貫徹だ(笑)よく わからないけど。」
岡田くん
  「(笑)へぇー。
  最初に、目指した方 ってのは、いらっしゃったんですか?」
志の輔さん
  「最初に目指した方というより、落研に入って、最初に 衝撃を受けた プロの落語家さんは、
  古今亭志ん朝 師匠です。 お亡くなりに なりましたけど。」
岡田くん
  「あー、志ん朝さんですね。」
志の輔さん
  「志ん朝 師匠の、あのリズミカルな、もう ほんと、歌い上げるような、歌のような落語。」
岡田くん
  「はい。」
志の輔さん
  「また それも、下手なりに、コピーがしてみたくなるものなんですよ。
  真似が出来るんじゃないかって、出来るわけは ないんだけど、
  学生は もう、出来るんじゃないかと思って、勘違いして、
  もう、いくつも聴き、何十回も 聴き、で、まあ 結果的には、
  私の 2年上の 三宅裕司さんも 同じ、明大の落研。 それから、2年下の 渡辺正行くん。
  これ、3代とも、同じ芸名で、同じように、志ん朝 師匠 を コピーしてるんですよ。」
岡田くん
  「あー。」
志の輔さん
  「ま、三宅さんは 上手い。 三宅さんのコピーも、素晴らしかった。 私も、素晴らしかった。
  ナベちゃんは、滅茶苦茶だったけどね(笑)」
岡田くん
  「アハハハハ!」
志の輔さん
  「ナベちゃんは、違う面白さが あったけどね。
  本人は、コピーしてる ってんだけど、全然、コピーになってないんだけどね。」
岡田くん
  「アハハハハ!」
志の輔さん
  「違う味が 加わって。 やっぱり、ああいう、笑いのセンスが、もう 元々、
  ナベちゃんは、ああいう、コント系の面白さが。」
岡田くん
  「なんで、それで、立川 一門に・・・」
志の輔さん
  「いやいや、それはね・・・」
岡田くん
  「志ん朝さん から、立川・・・」
志の輔さん
  「ああ、うん。 それはね、僕が、10年 迷ったからなんですよ。
  18のときに ショックを受けて、普通の人は たぶん、そのまんま すぐに、
  落語家になった人が、たくさんいると思うんですよ。」
岡田くん
  「はい。」
志の輔さん
  「だけど、オレは やっと、親というか・・・ちょっと いろいろ、家庭の事情があって、
  ほんとの親じゃない、おじさん おばさんに頼んで 仕送りしてもらって、東京へ、
  大学に 入ったわけじゃないですか。
  そこまで 説得しといて、大学に合格しました、それで 仕送り貰いながら、ある日、
  実は、落語家になっていました。 とても オレは、それ 言えないなと思って。」
岡田くん
  「まあ、そうですよね。 なんのために、大学 入ったんだ! って。」
志の輔さん
  「これが、親なら 甘えちゃうかもしれないけど、ちょっと いろいろね、事情があって、
  無理して頼んだんで、じゃあ そこは、ちょっと 我慢しよう と。
  それに やっぱり、落語が好きなのと、落語家になるのは違う と。
  ずうっと そうやって、自分を 騙し騙し、それでも、アルバイトしながら 演劇やったり、
  結局、それも諦めて、広告代理店に行って、
  広告で、なんか、素晴らしい人達が たくさんいたんで、
  そこの会社で 3~4年いた果てに、どうにも、頭から 落語が離れなくて、
  この10年間の間に、サラリーマンも やりながら、演劇も やりながら、いろいろ 見て行って、
  自分が、10歳 年食った時に、
  私の師匠、談志の落語の、また、全く違う世界を 知ってしまうんですよ。」
岡田くん
  「はーぁ。」
志の輔さん
  「リズムと 華麗な、落語もある。
  だけど、うちの師匠の落語のように、落語と人間を 一緒にした落語。
  あー、オレ、こういう落語をやりたかったんだ と思って、
  気が付いたら、師匠 談志のところへ。」
岡田くん
  「うーん。」


(曲)
JILL SCOTT 『TALK TO ME』
Beautifully Human: Words and Sounds Vol.2


志の輔さん
  「落語で食べるっていうことは、うーん・・・落語で食べるっていうのはね、
  落語家になるときには もう、そんなことは考えて・・・
  食べるとか食べないとかじゃなくて、もう、落語家になるって決めたら、
  もう、落語家でいること。」
岡田くん
  「忘れられなくて、そっちに入ったんですもんね。」
志の輔さん
  「うん。 だから、落語家でいれば、もう、食う食わないは もう、しょうがないもん。
  だって、一番 嫌なのは、落語家にならずに、ずうっと 残りの人生、
  オレねえ、あん時に、もし 決断してれば、今頃 オレ 落語家になってたんだよ、
  って、飲み屋で言ってるのが嫌だったから、落語家になったようなもんだね。」
岡田くん
  「うーん。」
志の輔さん
  「なんか、そういう瞬間て、あるじゃないですか。」
岡田くん
  「何が一番、落語っていうものに 惹きつけられたんだと、ご自身で 感じてますか?」
志の輔さん
  「そうですね、落語やってる時間。
  15分でも20分でも、気持ちいいっていうのを、落研のときに 体験したんですよ。
  それは、素人落語で。 アマチュア落語で。」
岡田くん
  「はい。」
志の輔さん
  「アマチュアだろうが プロだろうが、歌ってるときは気持ちいいのと おんなじように、
  落語やってるときは、気持いいんです。」
岡田くん
  「気持ちいい。 はい。」
志の輔さん
  「気持ちいいのは、わかってたんですよ。
  だけど やっぱり、師匠 談志の落語を、何回か こう、劇場 追っかけて、聴いているうちに、
  ああ、師匠 談志が、これが面白いとか、
  師匠 談志が、オレは、たとえ 世の中が間違ってると言っても、これが オレは正しいと思う、
  って 言うことが、笑いと一緒に お客が聴いて、オレも、その客席の一人として いて、
  すごく、帰るときに 元気になって、あー、宗教なんだ・・・って思いながらさ(笑)
  いやいや、一種のね(笑)」
岡田くん
  「一種の、あの・・・」
志の輔さん
  「だって、笑って 気持ち良くなって 元気が出て、
  オレに出来るか? っていったときに、
  やってみりゃ いいじゃん! やれなかったら やめちまゃぁ、それで済むことなんだから。
  やらずに、やめちまうことの方が、それが一番、たぶん 後悔することだから、
  年くってても 遅くても、
  ま、その時代ね。 いまは、だいぶ そんなことはないけど、
  28の終わり、29で落語家になるなんてことは、その当時、無かったんですよ。」
岡田くん
  「うん。」
志の輔さん
  「だから、断わられるかと思ったんだけど、うちの師匠は、
  『いいよ~、お前。 お前、あれだろ、芝居やってみてもダメ、サラリーマンやってもダメ。
  落語家にでも なろうっていう、そういう了見だろう。お前』 」
岡田くん
  「(笑)」
志の輔さん
  「 『居たけりゃ、居ろ!』 って、そういう 入門の仕方だったから。」
岡田く
  「へぇー。 あー・・・すごいですね。」
志の輔さん
  「だから、迷いに迷ったけど、迷ったお陰で 僕は、そういう意味では その10年間、
  言ってみれば、その10年間が、今の落語を作ってる。」
岡田くん
  「うーん。」
志の輔さん
  「もし これ、18で入ってたら、何の迷いも無く、大きな伝統の流れの中で、
  たぶん、みんなと同じポジションにいることが、気持ちが良くて、
  そのまま たくさんの仲間と、ずうっと その、大きな流れの中に、たぶん いただろうねえ。
  そしたら、入門してみたら、とたんに 師匠が、
  『オレは、寄席を出るから。 お前も 来い!』 」
岡田くん
  「アハハハハ。」
志の輔さん
  「当たり前だけどさ、弟子だから。 エ~?! って。」
岡田くん
  「そうですよね。」
志の輔さん
  「結局、大きな流れの中に加わらない スタートが、始まっちゃうんですよ。」
岡田くん
  「あー。」
志の輔さん
  「これは、オレが、散々ぱら 悩んで入った途端に、師匠が、
  ま、師匠も たぶん、相当 悩んでたんだろうけれども、自分の生き方に。
  それと、それとは・・・見事に、行ってしちゃって、
  オレは 入るは、師匠は 流れから出るわ。」
岡田くん
  「アハハハハ。 ま、ついて行かなけりゃいけないですもんね。
  最初、戸惑いは 無かったんですか?」
志の輔さん
  「いやいや、オレは 入ってからだから。 入って半年後に、バスの吊り皮に つかまりながら。
  うちの師匠、移動は みんな バスだ から。 バスとか電車だから。
  吊革に つかまりながら、
  『あのね、志の輔。 オレ、やめるわ!』 」
岡田くん
  「(笑)」
志の輔さん
  「やめる・・・あれ、師匠、何 やめるんだろう?
  今日の予定、何だっただろうかなって思ってたら、
  『もう、寄席 やめる』 (笑)」
岡田くん
  「まあ、普通に考えたら、寄席っていうのは、こう、なんだろう、
  そこを出て なんぼみたいな、感覚が あると思うんですよね。
  その、大きな こう、なんだろう、バックボーンに いないって 発言。」
志の輔さん
  「そう。」
岡田くん
  「守られたところには いないんだ、オレ達は、って 言われたってことですよね。」
志の輔さん
  「そう、言われた。 ましてや、オレ、一度も 寄席に入ってないんだもん。」
岡田くん
  「(笑)」
志の輔さん
  「これから、来月から入るんだもん。」
岡田くん
  「ハハハ。 これ、ついて行くしかないですよね。 お前、来い! って言われたら。」
志の輔さん
  「うん。 でも、それも、いまの落語を作ることに なるんだよね。
  つまり、その瞬間は、周り中が オレに同情してくれたし、
  お前って、運のないヤツだなあ って。
  迷って 迷って、やっと 決心して行ったら、師匠は、寄席を出ちゃうわ、脱退するわ・・・
  ほんとに、お前って、運 ねえな って、言われたんだけどねえ。」
岡田くん
  「そういうときも、真打 とか そういうのは、あるんですか?」
志の輔さん
  「あります あります。 だから、出たときは 前座だから。 もう、虫けら 同然。
  落語家ではあるけれど、人間でない みたいなもんですね。」
岡田くん
  「(笑)」
志の輔さん
  「酷いもんだ、もう。」
岡田くん
  「酷かったですか?」
志の輔さん
  「酷いじゃない、前座というのは、もう。」
岡田くん
  「今でも ですか? 時代的には、変わっても。」
志の輔さん
  「まあ それゃ、僕らは、自虐的に そう言ってますけど、少なくても、自由は無いし、
  アルバイトは出来ないし、決められたところへ行って 仕事をしなきゃいならないし、
  でも、仕事といっても、
  お茶を淹れること、着物をたたむこと、出番を知らせに来ること、楽屋の掃除をすること、
  これを ずうっと、3年 4年 5年、ま、大変ですよね。」
岡田くん
  「師匠と弟子の関係っていうのは、どういう感じなんですか?」
志の輔さん
  「うーん、まず 何ていうんでしょう、
  師匠が 黒いと言えば、白いものも 黒いということですかね。」
岡田くん
  「逆らえない っていうことですか。」
志の輔さん
  「うーん・・・」
岡田くん
  「でも、それ以外の 繋がりも あるわけですよね?」
志の輔さん
  「うーん、そうですね、ま 結局、師匠と弟子 っていっても、つまり、
  落語の修業って何かな? って考えたら、
  一つは、落語を覚えるとか、落語を上手くなるという、技術的な修行と、
  もう一つは、師匠が 何考えてるかを 考えるとか、
  あるいは、師匠が 何言いたいのかを 考えるとか、
  師匠を どうやって快適にするかとか、つまり、快適にするっていうことは、
  何か 考えないと、快適にならないわけですよ。
  逆に 言えば、その、考えてるってことが 師匠に伝わって、
  それが 合ってるかどうか わかんないけど、少なくとも、
  『コイツは、オレのために 何か考えようとしてんな』
  っていうところの、繋がりなんですよ。
  そっちの修業と、二つあるんですよ。 たぶんね。」
岡田くん
  「うーん。」
志の輔さん
  「雨の日に、タクシーが無い。 タクシー乗り場で、師匠が待ってる。
  このまんま行けば、順に順に行けば、これ 来ればいいけど、ずうっと 来なければ、
  これ、雨ん中で 傘差しているっちゅうわけに いかないっちゅうことは、
  どっかから タクシー拾って来なきゃいけないっていうことだ っていうことを考え始める。
  で、とこで拾えばいいのか? と。 てことは、この通りを どうのこうの と、
  この感覚なんですよ。
  これ、一緒に並んで 傘差してるようじゃ、もう、
  『別に、オメエが いなくったっていいんだ!』 って話になっちゃって、
  最初のうちは わかんないから、そうしてるわけですよ。」
岡田くん
  「うんうん。」
志の輔さん
  「だって、山手線が遅れて 遅刻したら、
  『山手線は動いてるってことは、いつか止まるんだ!』 って、怒られちゃうんだから(笑)」
岡田くん
  「アハハハ。 あー、すごいですよね。 すごいっていうか、そうですよね。 でも、そういう、
  感じたり、自分が 大好きだ っつって 入って来て、感じたりすることは、
  勉強に繋がって行ってることなんだっていうことですよね。」
志の輔さん
  「優しさはあるけど、厳しい。 その厳しさに、どうやったら・・・
  別に、師匠を笑わせようとは 思わないけど、師匠が、
  『ほー、なるほどね。 お前は、そう考えた!』 っていうのを、
  師匠が言ってくれる日が来るようにと思って、前座の頃も ずうっと、入ってから 1年2年は、
  そういう修行をね、するんですよ。
  だから、落語を 何十 覚えるとか、練習するとかっていう 技術的なことは、
  もう、好きでやってるんだから、そんなの、
  師匠は 全然、そういう部分は、やってくれないしね。」
岡田くん
  「うーん。」


(曲)
PAUL WELLER 『THINKING OF YOU』
スタジオ150(紙ジャケット仕様)


岡田くん
  「あのー、落語は 伝統芸能の一つだと思うんですけども、
  歌舞伎とか狂言とかとの違い。 最大の違いって、何だと思いますか?」
志の輔さん
  「あー・・・これまた、すごい 難しい質問だねえ。
  ただ、言えることは、歌舞伎とか 狂言とか お能とか、そういうものっていうのは、きっと、
  お能 という形を伝えて行かなければならない、中身も 伝えて行かなきゃいけない、
  歌舞伎も 同じように、狂言も 同じように。
  狂言 という、台本とか、ネタがあって、
  それを、どうやったら 一番、ということになって行くと、
  だんだん、いわゆる ほら、血筋というか 家系というかね、で やっていく、
  一番、ある種 安全な方法じゃないですか。」
岡田くん
  「はい。」
志の輔さん
  「ところが、落語は、誰でも なれるんですよ。 師匠さえ、入門を許してくれれば。
  で、どんな落語でも いいんですよ。
  落語で、一番いい落語って、誰? って言われたって、全員に聞いたって、
  プロに聞いたって、お客さんに聞いたって、バラバラですよ。
  そりゃ 確かに、5代目 古今亭志ん生 という・・・聞いたことあるね?」
岡田くん
  「はい、あります。」
志の輔さん
  「あの方の落語に みんなが、大旨 憧れるけど、でも、志ん生 師匠の聴いても、
  なんか あんまり、画が浮かばないって言う人も、世の中には いるわけですよ、
  普通の お客さんで。 ま、プロは みんなね、志ん生 師匠の凄さは わかるけど。
  つまり、究極の一つ、
  この落語が頂点なんです、ここに向かいましょう、とやってないんですよ。」
岡田くん
  「あー・・・それが、違い。」
志の輔さん
  「それが、違い。」
岡田くん
  「ま、歌舞伎とか 狂言て、ありますもんね。」
志の輔さん
  「うん。」
岡田くん
  「ここだ とか、伝統の中での、ここ、
  形としても、立ち振る舞いにしても、これが一番、見得 の切り方にしても・・・」
志の輔さん
  「だから、時代によって 場所によって、
  だから、落語は、演者と お客と 空間で作るもんだから、
  どんなに素晴らしい落語でも、その小屋と その日の客に合わなければ、
  シーンとしたまんま、全然 集中ないまんま、名人に降りて行かれて、
  『いまのは 名人だったんですよ』 『あ、そう・・・』 しかないじゃないですか。」
岡田くん
  「うーん。」
志の輔さん
  「ということは、一体、究極の落語って 何よ? っていうのを いまだに考えてるし、
  私の師匠 談志も 『落語って、何だい?』 って、
  いまだに、会うたんびに、この前 言ったのと、話が違うぐらいに、
  『この前ね、ああ言ったけどね、オレね、いろいろ考えた。
  あのね “芝浜” って落語はね、ああ 考えるべきじゃない』
  『はい』
  やっと、この前 聞いたやつを なんとか整理したのに、また 新しく会ったら、
  また 違うことを、ずうっと いまだに 考え続けてるわけですよ、師匠は。」
岡田くん
  「はあー! まだ、志の輔さんも、見つけてるわけでは ないですか。」
志の輔さん
  「あー、わからないですね、これは。」
岡田くん
  「自分のスタイル っていうのでは、見つけ・・・」
志の輔さん
  「あっ、それはあります。 それは、好き嫌いだから、自分の。
  いくら ウケても、私は ああいうふうには、やりたくない。
  あるいは、ああいうふうには出来ない っていうね。」
岡田くん
  「じゃあ、完壁 っていうのは、やっぱ 無い・・・んですか。」
志の輔さん
  「いや、無い・・・?」
岡田くん
  「この話の中でも、これは完璧 って思うことは 無いですか?」
志の輔さん
  「いやあ・・・より完璧に近い方って、いらっしゃるかもしれないけど、
  究極の落語 ってことは、つまり、その通りにすれば、コピーすれば、
  どこへ行っても、誰でもウケる ってことでしょ。」
岡田くん
  「うん・・・」
志の輔さん
  「よく わかんないけどですよ、例えば、音楽・・・よく わかんないけど、
  エリック・クラプトンの 名曲を、じゃあ、
  『レイラ』 なら 『レイラ』 を、『クロスロード』 なら 『クロスロード』 を、
  完璧にコピーを するとするじゃないですか。
  で、音だけ聴いたら もう、エリック・クラプトン だっていう、
  その エリック・クラプトン が、究極の音楽なら、
  それ 一曲 出来りゃあ、それで いいのかっていうと、そういうことじゃない じゃない。
  エリック・クラプトンも素敵だけど、いろんな素敵なギタリストがいて、
  僕らの時代は・・・ねえ、ジミー・ペイジ が いたりとか、
  そういう、たくさんの人達がいるから、すごく 面白くて、だから、なんていうんだろうな、
  究極の落語 っていうものを、別に、僕は 目指してもいないし、目指せないし、
  いままで 無かったんだと思うよ。 だから、落語 って、素敵なんだと思う。」
岡田くん
  「うーん。」
志の輔さん
  「僕は、なにしろ 落語で 一番大事なことは、その場と そのお客と 演者。
  生で、その時間しか ない。 よく “一期一会” っていう、ほんとの “一期一会”
  惜しいな、その話! 昨日じゃなくて、今日だったら ウケたかもしれないのにな!
  っていう内容だって、あるかもしれないぐらいに。」
岡田くん
  「あー。」
志の輔さん
  「あるいは、
  あなた、自分で 勘違いしてる! せっかく面白い その落語は、あの人の方が 似合うよ!
  ってことだって、あるかもしれない、
  微妙なものなんでしょうねえ。」
岡田くん
  「それを求めて、劇場で 始めたっていうのは、あるんですか?」
志の輔さん
  「うん、僕らは、寄席に出られないもんだから、探し歩いて 行き着いたとこ、
  最終的に、まあ、一番 長くやってるのが パルコ劇場で、
  1か月公演ていうのを、毎年、5年間、やり続けてるんですけど、
  僕は、あれは、落語が、劇場で 1か月公演 ていうのは、
  普通の、例えば 三谷幸喜さんとか なんかと 一緒じゃないですか。
  劇団 新感線 とかとも、一緒。
  それを、おんなじように、ザク ザクッ って、組んでくれたら 嬉しいなと思って、
  始めただけなのよ。」
岡田くん
  「うーん。」
志の輔さん
  「今月は 落語なんですけど、来月は 三谷さんなんです、再来月は 新感線なんです、
  そのあとは どうなんです・・・そういう、劇しかやらない劇場で、
  1か月、落語に任せてくれるっていうのが、いいなあと思ってたら、まあ とうとう、
  任せてくれたんで、喜んで、まあ しんどいけど。」
岡田くん
  「落語を・・・なんか、変えようとしてるのかなあ とか、
  開拓しようとしてるのかなっていう、イメージはあるんですよ、志の輔さんに。」
志の輔さん
  「あー。」
岡田くん
  「それが、どういう、こう・・・果たして、もしかしたら こう、なんだろう、
  壊そうとしてんのかもなって 思ったりもするし、でも、その、
  大事にしながら、違う出し方をして、落語 っていうのを 知ってもらおうとしてる、
  っていうのも あるかもしれないし、どういうので 進んで行かれて、
  やられてるのかなっていうのは、すごく 興味があるというか・・・」
志の輔さん
  「そうね、あー そうですね。 それは、すんごい いい質問だと思うな。
  自分の中では そんなつもりじゃなくても、結果的に、いま 言った、
  普通の演劇と 変わらないぐらいの、華やかさにしたかったんだな ってことは わかるね。
  後で、自分で 振り返ってみて。」
岡田くん
  「うーん・・・華やかさ。」
志の輔さん
  「だって、少なくとも、歌舞伎を観に行こうっていうときに、なんか、ワクワクしない?」
岡田くん
  「はいはい、します します。」
志の輔さん
  「ねえ。 まあ 言いにくいだろうけど、落語のときには、そんな ワクワクしないでしょ。」
岡田くん  
  「いや いや! (笑)」
志の輔さん
  「アハハハハ!」
岡田くん
  「劇場で やるとかっていうのは、その だから、新しいスタイル じゃないですか。 
  寄席 とかではなくて、劇場でやるって。」
志の輔さん
  「自由に 作れるしね。 ロビー から 何から、全部 自分で。
  バックも セットも、全部、専門家と打ち合わせして。」
岡田くん
  「もう、壊して、変えようとしてるっていうわけでは ないですか?」
志の輔さん
  「あ、それは・・・壊して とかなんとかっていうのじゃなくて、
  自分の好きな落語だけ、そこで やろうと思って。」
岡田くん
  「うんうん。」
志の輔さん
  「片や こっちで、普通の落語会でいるときには やっぱり、
  古典落語が 200とか300 ある中で、あれも やってみたい、これも やってみたい、
  これも やってみたい、あれも やってみたい とか、
  みんな、普通の、他の 落語家さんと話すこと おんなじようなこと話してるんだけども、
  パッと、劇場で ものをやろうとしたときに、ここへ来る お客さんは、自分を 観に来る、
  落語じゃなくて、自分を 観に来るんだから、
  自分が 一番 好きな世界を、お客さんに 作ってあげようと思うだけで、
  それが 結果的には、確かに、いままで 従来のものを 壊してるじゃないですか~、
  雰囲気、イメージ違いますよ~ とか、
  非常に わかりやすくなってるじゃないですか~ っていうのは、
  結果的に そうだったんだね。 そんなつもりは ないんですよ。」
岡田くん
  「うんうん。」


(曲)
DEREK AND THE DOMINOS 『LAYLA』
Layla and Other Assorted Love Songs


岡田くん
  「僕が、ドラマをやっていたときに、ずうっと考えてたことがあって。」
志の輔さん
  「うん。」
岡田くん
  「 “粋だな” って言葉が、あるじゃないですか。」
志の輔さん
  「うんうん。」
岡田くん
  「 “粋” って、言葉で説明すると、どういうことですか?」
志の輔さん
  「えー・・・ “粋” というのはですね・・・」
岡田くん
  「 粋だねえ~! とかって、言うじゃないですか。」
志の輔さん
  「うん。」
岡田くん
  「どういうこと なんですかね。」
志の輔さん
  「一言で言うと、きっと、見返りを求めない・・・親切心 かな。」
岡田くん
  「あー・・・僕が、なんで この質問をしたかというと、
  志の輔さんと 話をするって思った時に、
  その、いろんな、パルコ劇場 でやられてるとか 聞いたときに、
  あー、粋な人だな って思ったんです。」
志の輔さん
  「あー、それは 嬉しいことだね。
  つまり、富山県民と “粋” っていうのはね、
  絶対に 合わないもんだと思ってたんだけどさあ(笑)」
岡田くん
  「アハハハ!」
志の輔さん 
  「その “粋” とか “いなせ” とかっていうのは、つまり、
  江戸っ子が、そう言われたくて 生きてるぐらいの、まあ つまり、
  ほんとは “粋” というのは、痩せ我慢の文化なんだって、本当は。
  これは あの“だって” っていうのは、人が言ってたってことですよ。
  だから、一番わかるのは、痩せ我慢の美学である と。
  痩せ我慢の美学 っていうのは、つまり、自分が 辛い状態に置かれてても、
  辛くねえんだ! ってことを 人に見せることによって、
  自分が、まあ 快感というか なんていうか その、
  『粋だね~ あれだけの暑さの中に よくいられるね』 とか、『粋な人だね~』 っていう、
  なんか わかんないけど、そういうことが書いてありましたけどさ、
  僕は思うんだけど “粋” っていうのは、うーん、
  ほんと、気づかれちゃいけないんだろうけれど、相手に。
  気づかれちゃいけないんだろうけど、僕は 結果的に、
  相手が喜ぶことなんだろうなと思うわけですよ。」
岡田くん
  「うん。」
志の輔さん
  「さりげなく、見返りを求めずに、相手の人を、結果的に 喜ばしてることが やれる人が、
  たぶん、粋な人 なんだろうなあ っていう・・・」
岡田くん
  「あー、だから 粋な人なんだろうなあ って思ったんでしょうねえ。」
志の輔さん
  「どうでしょうねえ。 だから “粋な人だね~” っていうのは、まあ、
  誰が誰に向かって言っても いいんだろうけど。
  でも まあ、落語の背景にあるのは、絶対それですよね。 江戸っ子は みんな、粋な。」
岡田くん
  「うんうん。」
志の輔さん
  「で、粋 同士がぶつかった、落語。 要するに、財布を拾って、
  財布の中に、そいつの住所と名前が書いてあったから、届けてやったら、
  『あー、ありがとう。 だけど、中に入ってる書類は オレのもんだけど、
  中に入ってる 三両という金は、オレの懐が 嫌だと言って 出てったんだから、
  お前に やるから』
  『いや、オレは、そんな はした金を貰うために、
  わざわざ 財布 届けに来てやったわけじゃないんだ』 と。
  『お前が、困るだろうと。 お前が 嬉しいだろうと思うから、財布 持って来たんだ』 と。
  『だから、それは、ありがとうって 言ってんじゃん。
  でも、中の お金は もう、オレの懐から、一遍 出ちゃってんだもん。 やだ、そんな金。
  だから、お前が、帰りに 一杯やってけよ』
  『オレは、お前の財布を拾って、中に入ってる金を 貰うために来たんじゃない っつってんだ』
  って、この二人が、ケンカになって、それで、大岡様が出て来て、お裁きになるという、
  もう、普通の人間が考えたら、バカ~! っていう、二人が(笑)」
岡田くん
  「フフフフ(笑)」
志の輔さん
  「だけど その、なんていうのかな、それも “粋” っていうか、痩せ我慢 ていうか、
  ほんとは、黙って貰っとけばいいのに 『あ、ありがとうね』 っていう、
  この財布を拾ってもらって ありがとう、と言えない何か、みたいなものも 含まれてるから、
  実に、厄介な。」
岡田くん
  「厄介な(笑)」
志の輔さん
  「厄介なもんですよ。 普通は、そんなヤツと 友達になりたくないですよ、なかなか。
  なんか(笑)」
岡田くん
  「いやいや(笑)」
志の輔さん
  「じゃあ “粋” の反対語は、なんでしょう?」
岡田くん
  「えー? “粋” の反対語? なんだろう “粋” の反対語は・・・」
志の輔さん
  「これを考えると、なんか、わかるかもしれない。」
岡田くん
  「 “ケチ” みたいな。」
志の輔さん
  「あー、ケチ ね。 “粋” の反対語は “野暮” っていう・・・」
岡田くん
  「野暮!」
志の輔さん
  「野原が暮れる と書いて “野暮”
  さあ この “野暮” っていうのは、何だろう っつったときに、例えばさ、
  まあ、いま 急に言われて、例えが なかなか 難しいけど(笑)
  例えば まあ、これ ディレクターさんも、みんな入れてこう、
  4人で、メシ 食ったとするじゃん。」
岡田くん
  「はい。」
志の輔さん
  「メシ 食ったとして、全員 割り勘で 食うことになってたとするじゃん。
  ところが、ビールだ 何だかんだ、いろいろ注文して行くうちに、4人で割ろうねって話をしてて、
  よし、4人で割ろう って言って、じゃあ、って 会計に一人 行くじゃない。
  で、いくら? って言うと、なんとかで、あー、それ 4で割って、って言ったら、
  『お客様、500円は どうしても、半端が出てしまうんですけども』 って言われたときに、
  この500円 『あっ、そう。 みんな2000円通しで、一人2500円。 うーん』
  て言って、例えば その人が 払ったとするじゃない。 でも、その人がさ、
  例えば 2500円、つまり みんなよりも 500円 余計に払ったことが事実だけど、
  その事実を、みんなに、500円 多く払ったんだよ、オレ、っていうのを、
  知ってもらいたいっていう、人間の、気持は わかるよね。
  だけど、それを 絶対に知られないようにするのが “粋” だとすると、
  絶対に、なんとか みんなに、払ったのは いいけど、
  払ったのは オレだってことを 知ってほしいなって思うのが “野暮” だとすると、
  なんか、一部、わかったような気がしない?」
岡田くん
  「(笑)」
志の輔さん
  「アハハハハ!」
岡田くん
  「なんか その、まあ 一部・・・(笑)」
志の輔さん
  「一部よ “粋” の一部。」
岡田くん
  「 “粋” の一部ですよね。」
志の輔さん
  「オレにも、とても、粋 全部なんか 説明できないわ。」
岡田くん
  「うーん。」
志の輔さん
  「でも、人の心に残って、思わず その人が、
  『はぁー、いま行った人、粋だなあ・・・』 って思うこと、何か 残して行ったんだから、
  きっと、その人は 何かを感じる、
  つまり、その人が 喜ぶこととか、うーん、何だろうねえ、きっと。
  欲しかったのになあ と思ったら、わざと 忘れたふりして 置いて行くとか、
  それが、さりげない。 わざと置いてったってことが わかると “野暮” に転ぶ、
  非常に、野暮と 粋の、この、線が細い、ほんとに。」
岡田くん
  「じゃあ、最後ですけど、
  これから まだまだ、やってみたいこと、やらなきゃいけないと思われてることって、
  何だと 思っていますか?」
志の輔さん
  「うーん。 いやあ、まだまだというより 何より、ほんとに、我が師匠 談志が まだ、
  落語 って何かを 模索してるように、自分は もっともっと、下のレベルで、
  なんだか わかんないんですよ。
  ただ、今日の お客様を、最高に楽しませようと思って、高座で喋ってることだけが 事実で、
  その録音は、後から聴いても、へぇー? うーん、もうちょっと なんかあったろう、とか、
  ここは違うんじゃないか とか思って、
  また、次の 高座にチャレンジすることの ずうっと繰り返しで、
  これから やってみたいこと ではなくて、出来ることなら、
  あー、落語 って これだ! っていうのが、出来れば 近い何年かのうちに、うーん、
  わかるといいなあ っていう、うーん。
  さっきは、究極の落語は 無い って言ったじゃないですか。
  ひょとすると、あるのかもしれないんですよ。」
岡田くん
  「うーん。 やっぱ、粋ですよ。」


(曲)
TOM WAITS 『OL' 55』
Closing Time



(対談が終わって、岡田くんの感想)

「さあ、ということで、志の輔さんと お話をさせていただきました。
うーん、やっぱりねえ、あの、なんだろう “人間力” なんだろうなあって、やっぱり思いました。
落語が。 落語が、っていうか・・・
自分が今、欲していることだっていうのも あるのかもしれないですけど。
うーん、なんか、弟子と師匠の話を 聞いているときにも、いろいろ こう、先を 汲み取って、
それが、芸に繋がって行くんだ とか。

その、最後に、実は 帰り際に、志の輔さんが言った 言葉があって、
『きみ、落語 やんないの? もう』 って言われて、
『いや、やりたいですけどね、難しいんですよね~』 みたいなことを答えたんですよ。
落語っていうのは、なんで、袴 着るのかっていうと、
一番 その、袴が、座った時に きれいに見えるんだ、足元とかが と。
きれいに見えて、自分が、こういう話を覚えて、あ、この話 したいな って思うことなので、
それを話したら もう、落語なんだよ と、おっしゃったんですね。
だから、落語は、たぶん その、ほんとに 相手に こう、面白い話を してあげたい、
気持ち良くさしてあげたい とかいうのが、落語なのかなあと。
喜ばせたい 一心? 一心 つったら変だけど、そこに 行き着けんのって、すごいなあって。
あの、思うというか。 うーん。
なんか それで、人の物語とか いろいろ考えたり、昔の古典落語だったり 読んで 考えて、
もう、どんだけ 人間力が 備わっていってるんだろうなあっていうのを、すごく感じたし、
落語が、聴きたくなりましたね。」


(曲)
CRAZY KEN BAND 『タイガー&ドラゴン』
クレイジーケンバンド・ベスト 鶴



(志の輔さんからの コメント)

「いやいや、粋な人だなと 思いましたねえ、ほんとに(笑)
初対面だし、それから、落語家を 初めて呼んでくれた っていうことで、結構 いろいろねえ、
話の糸口とか なんか、いろいろ 考えてくれたんだろうけれど、
すごく、そこを気遣いながら、さらっと やってくれて、
興味のあるところは、深く 話し込んで っていうことがね、
ほんとに さらっと出来るっていうのはね、ほんとに 素敵なことで、
たぶん、これが、彼の言う “粋って何でしょう?” っていうのは、
彼自身が、粋 なのかもしれないから。

うーん、今日は ほんと、考えされられたなあ。 “粋” って何だろう。
まずいな、この放送、誰か 落語家が聴いてたら、
『志の輔 お前、粋 ってこともわからないで 落語やってたのか』 って言われると、まずいなあ・・・
今度 “粋” 調べて来ますから、ええ、また 次の機会を、楽しみにしております。」

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