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2010/01/17 on air  「僕らにとって、心地よい照明とは 何ですか?」              (guest) 乾正雄さん


夜は暗くてはいけないか―暗さの文化論 (朝日選書)



夜は暗くてはいけないか―暗さの文化論


乾 正雄




(オープニング)

「こんばんは、岡田准一です。 今夜も始まりました 『Growing Reed』
この番組では、毎週一つのテーマの専門家をお呼びして、徹底的に質問。
番組の終わりには “考える葦” として、
僕も、みなさんと一緒に、成長したいと思います。

えー、今日のゲストはですね、
建築学者で、宝塚造形芸術大学教授、東京工業大学名誉教授の 乾正雄さんです。
乾さんの専門は、都市 建築の照明や、街並み インテリアの色、それから、景観や環境心理など、
いわゆる、僕らが生きて行く この街の環境全般に詳しい方なんですが、
今日は、その中から 特に、都市や建築の照明について、お話を お聞きしたいと思います。

えー、冬はですね、街の明かりが 一番きれいに感じる季節ですよね。
特にですね、いま 僕のいる 六本木ヒルズ。
J-WAVE のね、六本木ヒルズから見える景色は、もう いま すごいですよ。
明るいイルミネーションがね。
昔、パズルで こういうの作ったことあるなっていうぐらい、こう、
すごい きれいな絵が見えますけども、
こういうのをね、どんどん 今日、聞いて行きたいと思うんですけども。

あと、照明といえば、自分の家やですね、部屋の 照明にこだわる方も 多いですよね。
特に、自宅で仕事をする方は、照明によって 集中力が変わるから、
照明は どうするかを、すごく大事に思ってる方も 多いんじゃないでしょうか。
ま、僕んちも、ぶっちゃけ そうですね。 あのー、なんだろう、
暗いですよ、僕んちは。もう、間接照明で。
照明士さんが来てくれて、やってますから、アハハ!
なんかあのー、リフォームをしたときに、照明士さんが来て、なんか、
もし あれだったら、こいうの入れて下さい、みたいな、フィルターを 何個か預かるほど、
こだわってね、作ってもらってますから。 初めて言いましたけどね。
ま、そんな、照明が 人の心や生活に与える影響や、日本の照明の歴史や特徴などを、
じっくり、お伺いしたいと思います。

“僕らにとって 心地よい照明とは何ですか?”

J-WAVE 『Growing Reed』
新しい一週間、最初の60分。 ぜひ、一緒にお付き合いください。」



(曲)
U2 『CITY OF BLINDING LIGHTS』
City of Blinding Lights


岡田くん
  「乾先生。」
乾さん
  「はい。」
岡田くん
  「どうですか、この、いま 六本木ヒルズの、ここの明かり っていうのは。」
乾さん
  「あっ、風景ですか?」
岡田くん
  「はい、風景。」
乾さん
  「うーん、まあ、これは 繁栄した風景ですよね。」
岡田くん
  「ハハハハ! あの、日本の照明というか、
  日本は明るいっていうことを 聞きますけど、実際 そうなんですか? 日本の照明は。」
乾さん
  「そう思いますね。 後進国は よくわからないけど、
  ヨーロッパ アメリカに比べれば、日本の方が 明るいですね。」
岡田くん
  「なぜ、あの、日本の照明は 明るくなったんですか。」
乾さん
  「うん、それはねえ、いろんな意見があるんですけれども、
  日本は とにかく、江戸時代の 300年近い間、事実上 鎖国だったわけですよね。
  ただ、この頃の歴史では、鎖国って言葉は、日本は 使ってないという反論があるんですが、
  事実上、そうだったんですよ。」
岡田くん
  「うん。」
乾さん
  「それでね、明治維新直前に竹内使節団という、
  そこへは、福沢諭吉なんかも 入ってたんですが、そういうグループが、一周して来て、
  明治になってからは、岩倉使節団が、ヨーロッパ アメリカ 一周して来て。
  そういう人達が、ヨーロッパを見て、アメリカ見て、一番 びっくりしたのは、
  街が明るい と。
  その頃ね、ガス灯の全盛期だったんですね。
  ガス灯は 発明して、もう、だいぶ経ってたんですけども、
  街が整備されて来て、ガス管が敷設されて
  ガス街灯が 点々と並ぶようになったのが、ちょうど その頃でね。」
岡田くん
  「うん。」
乾さん
  「その頃、日本は まだ、街路照明どころじゃないわけですよ。
  暗い夜は 提灯をかざして、持って歩いて、その人の前だけ 明るい。 ポツンと明るい。」
岡田くん
  「夜なんか、相当 暗かったってことですよね。」
乾さん
  「ええ、日本の風景ですね。」
岡田くん
  「日本の風景はね。」
乾さん
  「だから、日本の使節団の人達は みんな、明るさこそ文化だ と思いこんで帰って来た。」
岡田くん
  「うーん。」
乾さん
  「それで、明るさが いいと思ったんです。 それが、昔の話です。
  それから もう一つ、似たようなことが 戦後 ありましてね。
  戦中の 空襲が激しかった頃、空襲の目標になってはいけないというので、
  灯火管制・・・ご存知ないかもしれないけど、明かりのこと 灯火 っていいますね。」
岡田くん
  「はいはい、灯火。」
乾さん  
  「灯火。 それを管理する制度、灯火管制 っていうのがありましてね。
  で、火の用心じゃないんだけど、明かりの漏れないための用心のために、人が歩いて、
  オイ、お前のとこ、光が漏れてるぞ! なんて言われて、慌てて消したり、
  それから、窓に 暗幕なんか掛けて。」
岡田くん
  「漏れないように。」
乾さん
  「漏れないように。 そんなことの流行った頃で、大体、だから その頃の人には、
  イメージ 非常に悪いんですよ、暗いというのはね。
  それが、戦争が終わってみたら、アメリカから 蛍光灯が入って来た。  
  蛍光灯 ってのは また、すごかったから、
  あれの 一番はじめの頃ってのは、1950年代ですけれども、街中が 一気に明るくなった。」
岡田くん
  「ワー! って、なったわけですよね。」
乾さん  
  「街なんか歩いてるとね、
  電球から蛍光灯に切り替えた商店ていうのが、ポツン ポツンとあると、
  あそこが明るくなった、ここが明るくなった って。
  それで、次の年になると、また増えてるっていう具合に、ワーっと増えて来て。」
岡田くん
  「お店とかにしては、イメージが良くなるっていうのも あったんですかね。」
乾さん
  「そうですね。 明るいっていうのは やっぱり、商売繁盛ってかんじが ありますから。
  だから、明るさがいいという経験を、日本人は 2回、大きな経験を得たということです。」
岡田くん
  「はぁー、じゃ 元々は、明るいのは好きな民族っていうわけではないってことですね。」
乾さん
  「それは、特に明るいのが好きではなかったと思いますね。」
岡田くん
  「うーん・・・」
乾さん
  「だけども、比較的 明るい国だったわけです。
  緯度は 南の方ですから、太陽の光が強くって。
  それで、西洋の キリスト教の聖書のはじめのところに “神様が明かりを作った” と。
  “明かりを作って 良しとされた” というふうな、
  つまり、神が 一番最初に成したことってのは、明かりの創造なんですね。
  そういうことが あったんですけれども、
  日本の場合は そうじゃなくて、古事記なんかの話というのはね、
  天照大神という太陽神が いたんですけれども、
  それじゃあ、天照大神が生まれる前は 暗かったかっていうと、そうでもないんですね。
  その辺は、神話ですから、ボケてますけどね。」
岡田くん
  「うーん。」


(曲)
ANNIE LENNOX 『SHINING LIGHT』
The Annie Lennox Collection


岡田くん
  「じゃ、照明器具っていうのは、どういうふうに 発達して行ったんですか?」
乾さん
  「はい。 照明器具はね、おそらく “火” ですよね、一番最初は。」
岡田くん
  「うん、最初、火 ですよね。」
乾さん  
  「火を、どこで人間が覚えたかって、それはまあ、あまりよくは わかりませんけど、
  どうせ、焚火とか 山火事とか、しょっちゅう そういうことがあったに違いないんで、
  そういうとこで、火を使うということを、とにかく 覚えたわけですね。
  で、火事のような すごいのは、あっという間に、大変な災害だけ もたらすんで、
  これはもう しょうがないというか、
  できるだけ 火を、ゆっくり燃えるように出来ないかというふうな考え方で 出て来たのが、
  火を使った照明ですね。」
岡田くん 
  「うーん。」
乾さん
  「だから、ロウソクなんかも、基本は やっぱり、持たすということですよね。」
岡田くん
  「うーん、長く使える・・・」
乾さん
  「いま、大きなロウソクっていうのは、10時間ぐらい 簡単に持つでしょ。
  そういうのは やっぱり、照明としては 良かったわけですよね。
  オイルランプ、日本なら 菜種、西洋だったら 豚やなんかの油ですね、
  そういうものを オイルに溜めて “灯心” 灯りの心。
  灯心ていうのに挿して、そこが吸い上げて燃えるわけですが、
  そういう オイルランプなんかでも、できるだけ ゆっくり持ってくれるっていうのが、
  一つの ツボですよね。」
岡田くん
  「うーん。 そう、まあ、持ってね、長く使える。
  なんか、暗闇を怖がるじゃないですか、人って。」
乾さん
  「ええ。」
岡田くん
  「そっから なんか、照明っていうのが出来てきたとかっていうのも あるんですかね。」
乾さん
  「それは ある・・・ただ、いまの人に比べると、
  昔の人は、平気だったんじゃないかと。 まあ、そうでもないかもしれないけどもね(笑)」
岡田くん
  「なんか、明かりが、人の心に与える影響っていうのは、どういうものがあるんですかね。」
乾さん
  「やっぱり、ありがたさ。」
岡田くん
  「うーん。」
乾さん
  「いまの、はじめ頃の明かりと 今の明かりとは、だいぶ違いますけどね。
  はじめ頃の明かりってのは、いまのようなね、こんな細かいもの、
  字を読むってことが 無かったに違いない。
  それが だんだんと 進んで来てって、いっても、筆で墨で 書き下ろすわけですからね、
  ずいぶん大きな字ですよね。
  だから、そんな細かいことは いらなかったと思うんです。
  ですから、行燈でも オイルランプでも ロウソクでも、
  ちょっと 二つ三つ、こう、加勢してね、
  ちょっと暗いでしょうから いくらか加えて、まわりに 3本ぐらい立てれば、
  十分な明るさだったと思うんですよね。」
岡田くん
  「うーん。」
乾さん
  「この間うち、若い女の人 2~3人と、旅行へ行って、感じたのは、
  女の人 3人いて、僕だけ 別の部屋にいるんですけどね、
  そうすると その、一番年配者の女性が一人 孤立しちゃって、
  あと二人の若いのは、寝転がった真上の 天井灯を消したくない というんですよね。
  それで その(笑)一番 年長者の女性は、しょうがないから譲って、
  一晩 明るいところで寝た っていうんですけどね、
  そんな人、少なかったと思うんですよ、昔。」
岡田くん
  「そうですよね。」
乾さん
  「いま、いるんでしょうかね。」
岡田くん
  「あー、そうかあ。 昔は、暗くしないと 寝なかったですからねぇ。」
乾さん
  「ええ。」
岡田くん
  「いま、明るくても みんな、寝れるようになって来てるっていうのは、
  あるかもしれないですね。 それ、なんか、変わって来てるんですかね。」
乾さん
  「うん、やっぱり、変わって来てんじゃないかと思うんですよね。」
岡田くん
  「うーん。 どうですか、こう、いま。
  僕は、けっこう 家も暗い人なんですよ。
  だからこう、東京の街並とか見てると、うわ、明るいな って思うんですよ。
  それは 逆に、ちょっと明る過ぎじゃないかなと思うときもあるんですけど。」
乾さん
  「そうですね、それで 僕の本は 『夜は 暗くてはいけないか』 という題を付けたんで、
  それがまあ、非常に挑発的な題だとかね、なんか 言われましたけど。」
岡田くん
  「へぇー。」
乾さん
  「だけど、僕は割合、自然に付けたつもりなんですけどね。」
岡田くん
  「うーん。」
乾さん
  「やっぱり もっと、暗さっていうのは 見直していいんではないかと。
  特に、いま 暗さの急先鋒は、星の観測者ですね。
  そういう人達にとっては もう、明るいっていうのは、メリット なんにもないわけですよ。
  実際に、そういう運動をしてるとこがあって、
  岡山の美星町なんていうのは “星が美しい町” と書く。
  それは、そういうことを宣伝するために、名前を変えたんじゃないかと思うんですけどね。
  でも とにかく、ある程度 成功してますね。  
  あそこは 放っとくとね、水島の工業地帯なんかが見えて、
  非常に、空は、そっちの方の空が 明るくなるんですよ。
  そういうのも、なるべく来ないようにして、自分の村、
  ま、町といっても、村みたいなもんですが、
  そこも もちろん、全部 下向きの光にして、苦心して。
  それで、天文台があるんです、そこに。」
岡田くん
  「じゃあ、あの、だんだん 照明とか灯りについて、
  興味を みんな 持ち始めてきているっていうのは、感じますか?
  だから 一気に、明治とかで、ガー って、入って来たわけじゃないですか。
  で、とにかく、それがすごいっていって、使い出したじゃないですか。
  で、白い色とか、ダーっていうのが増えて、
  でも 最近は、ちょっと抑えようとか、間接照明、家は間接照明にしようとか、
  町並も 景観で、間接照明にしようとか、
  上手く、光を使おうとしだして来てる気は するんですよね。」
乾さん
  「そうですね。やっぱり、省エネ というのが、いま 社会の 一大テーマになってますからね。
  そいう意味で、それに乗ってやってんですけども、省エネなんてか そういう、
  唱えられて、暗くすんじゃなくって、ほんとは、
  適度な明るさ暗さっていうのは、あると思うんですよね。」
岡田くん
  「うーん。」
乾さん
  「そこを もうちょっと、バランス良く 暮らせるといいなと思うんですけどね。」
岡田くん
  「だんだん でも、そうなって来てはいるんですかね。 そういう方向に進んでるというか。
  そうでもないんですか。」
乾さん
  「どうでしょうねえ。」
岡田くん
  「アハハ。 ちょっと、まあ、明治とかで 明かりが出始めたとき、
  蛍光灯が入って来て、スゲエ! これ 明るい って言って、使い出したときより、
  光を 上手く使おう、ってする動きは、変わって来たのかなっていう気は するんですけど。
  そうでもないですか?」
乾さん
  「そうですね、そう多くは期待できないように思うんですけどね。」
岡田くん
  「アハハ! ああ、そう、そうなんですね。 へぇー・・・
  なんか、自分達が っていうか 街とか、景観とか、そういうので こう、
  いい具合とか “いい塩梅” って、日本には いい言葉が あるじゃないですか。」
乾さん
  「うん、いい塩梅。」
岡田くん
  「いい塩梅 っていう 色味、明るさってのを探すのには、まだ先ですかね。
  そこに、目線が行くには。」
乾さん
  「そうでしょうね。 相当 先じゃないかと思う。」
 

(曲)
GLORIA ESTEFAN 『COMING OUT OF THE DARK』
Gloria Estefan - Greatest Hits
  

岡田くん
  「照明とか 明るさっていうのは、街とか国とか 印象づけるものですよね。」
乾さん
  「まあ、多少は 変わってんじゃないかというような、
  例えばですね、レストランなんかは、日本のレストランて 明るかったんですが、
  この頃、上等なレストランは、かなり暗いのが増えて来てますね。
  一方でね、明るいレストランていうのは、これは、安全であると、安いですよという、
  一つのサインになってるんですね。」
岡田くん
  「うーん。」
乾さん
  「だから、それは、レストランが作ってるときから わかりますがね。
  室内に 点灯した風景を 歩きながら見てると、
  あ、ここは こんな明るくなったのか。 ここは 安いなと。
  コンビニの安さなんかも、やっぱり 明るさが説明してるという面が ありますよね。」




岡田くん
  「なんかこう、お店とかでも、海外とか 違いますよね。
  日本では 煌々と、最初から明るいけど。」
乾さん
  「ええ、そうですね。 案外、暗いですよね。」
岡田くん
  「海外とか、結構 暗いですよね。」
乾さん  
  「ええ。 海外っていうのは、入りやすいようになってんじゃないかと思うんですけどね。」
岡田くん
  「でも、入口は暗かったりしますよね、こう・・・」
乾さん
  「入口 暗いっていうのは、大事なんじゃないんですか。 その方が、目立たないから。」
岡田くん
  「日本は 結構、入口が明るい気はしますよね。」
乾さん
  「ええ。」
岡田くん
  「入口は明るくて、海外の場合、入口 暗くて、中に入ると、
  例えば、二人で行くと、二人で座ったところに、ロウソクを付けてくれるとか。」
乾さん
  「そうそう。」
岡田くん
  「ちょっと 明かりを灯したりとかっていうことが・・・」
乾さん
  「そういうようなことは やっぱり、歴史があり 文化があるんでしょうけどね。
  特に、(聞き取れず)なんてのは、
  日本は 非常に汚くって、風がびゅうびゅう吹いて 寒かったりするんですけど、
  ああいうところってのは、暖房なんかが きっちりあってね、
  火にでも あたりながら、長時間、本を繰って 楽しむというような、
  そういう雰囲気が、もっとあっていいですよね。」
岡田くん
  「うーん。 先生の 一番好きな国とか、
  ここの照明っていうかは 良かったなっていうとこって あるんですか。」
乾さん
  「そうですね、あの・・・」
岡田くん
  「明かり。」
乾さん
  「ヨーロッパは、概して いいですよね。
  いいってことは 古いってことなんだけども、
  本質的に、照明器具なんかが 変わってないんですよね。
  ロウソクが、ロウソクっていうか オイルランプのことが多いですけども、
  なにか、丸い器状のもの。
  これが置いてあることもあるし、ぶら下がってることもありますけども、
  そういうものが 元にあって、
  それが、ガス灯なんかに変わったときでも、おんなじデザイン してるんですよ。
  だから、どこがガス灯で、どこがオイルランプかって わからないぐらいですけども。
  まあ、ガス灯の場合は ガス管が、とにかく 何らかの形で付いてますからね、
  割合 目立たないようにはしてますけども、それで わかるわけですね。
  それがね、電球になっても また おんなじような器具になるんですよ、西洋の場合は。
  日本人だったら、新しいものは 新しくせい というふうな、
  そういう好みが強いですよね。 だけど・・」
岡田くん
  「伝統とか文化とかっていうのは、まあ そうですよね、日本は、
  ちょっと、置いて来た感は あるかもしれないですけどね。」
乾さん
  「そうですね。」
岡田くん
  「うーん。 日本の 心地よい明かりとか、いい塩梅 っていうのは、どこにあるんだろうなって
  話しながら思ったんですけど・・・造形とか。」
乾さん
  「そういう、価値判断が変わったんじゃないかと思うんですよ。
  明治維新ていうのは、いろんな、江戸時代から続いてたものを捨て去って、
  で、まあ それでもね、捨て去るのに 時間がかかったわけで、
  例えば、畳なんて 無くなるのには、まだ 続行中だというかね。
  しかし、明治維新から、畳っていうのは減り出してて。」
岡田くん
  「一部屋、ちょっと 畳にしてみようか ぐらいのことに なっちゃいましたね。」
乾さん
  「ええ、せいぜい それぐらいですね。
  それで、畳が無くなったってことはね、行燈が無くなったってことでもあるわけですよ。」
岡田くん
  「うーん。」
乾さん
  「行燈てのは、畳の上へ 直に置いて、そっから照らしてるわけ。
  人間の目線より低いところに、明かりがあったわけですよね。 そういう文化だったのに、
  なぜ いま、煌々と 上から照らされる明かりに、みんな 馴染んでんのか。
  そのへんの転換が早いですよね、日本人の場合はね。」
岡田くん
  「うーん。 受け入れるのが早いんですかね(笑)
  その、いい塩梅 とかっていうことが、たぶんもう、
  基準として、普通に無くなって来ているっていうのは あるじゃないですか。
  作られた明かりとか、こう、僕ら若い世代は、どんどん 明るいとこで生きて来ているので、
  暗かった生活を知らないから、たぶん 電気を付けてて 寝ても、こう、なんだろう、
  電気代ぐらいとかのことしか気にしないで、
  省エネ 省エネ って動いてても、省エネだから消そう っていうのは、
  クーラーぐらいだと思うんですよ。
  クーラーとか、温度の こう、環境だったりとか、
  20何度以上あげると、環境に良くないから~ とかっていうことはあるけど、
  照明に対して、こう思っているかなっていうと、
  そんなに強く 思えてないかもしれないですよね。」
乾さん
  「うん、そうですね。
  照明は 比較的、省エネは 早くからやってたと、照明関係者は自負してるわけですよ。
  だから、早くからやって、蛍光灯でも電球でも、省エネ器具を、昔から 売ってるんだと。
  ですから、そういうもんに比べて、ずいぶん贅沢に 電気代 使ってる、 
  例えば、一昔前の冷蔵庫なんてのは、ずいぶん贅沢に使ったんですね。
  ですから、そういうのは 省エネすべきなんだけど、
  省エネってのは あんまりしないでも、
  とにかく、もう いっぱい いっぱいなんだというようなことを言う人は、
  照明 やってる人には、多いですね。
  だから、これ以上 無理なんで、勘弁してくれと。
  だけれども、消す余地は ずいぶんあると思うんですよね。」
岡田くん
  「でも それ、時代なんですかね、どうなんですかねえ。
  ちょっと前までは、例えば、香港行けば 100万ドルの夜景 みたいなとかも、
  国が発展して行ってる象徴だ みたいな。 明かりが。
  そう言われた、栄華の時代だ! みたいなので。
  そういうので こう、発展してる象徴だって言われた時代が、例えば 1980年とか、
  70年代から80年代って、そうだったじゃないですか。
  でも、そっから、上手く 光を使おうと、そこがこう、発展途上国は 別として、
  えーと、そういうのじゃなくなって来てるかんじも するんですよね。」
乾さん
  「うん。」
岡田くん
  「明かりとか 電気とか、機械自体 照明機材が発展したので、
  文化としての明かりっていうよりも、建築にしても、素材にしても、やっぱり その土地土地。
  ヨーロッパは 石造りだったのが、別に、石じゃなくても 作れるから、
  もっと 火に強いのも作れるし、地震に強いのも、この素材で作れるしって、
  素材が だいぶこう、なんだろう、新しいものに変わって来ていて、
  文化とかっていうのは、無くなって来てるかんじが するんですけど、
  照明としての 新しい、こう、なんだろう、僕らの 向き合い方っていうので、
  どうやって、向き合ってけば いいんですかね。
  明るきゃいいってもんでもないと思ってるんですよ。 たぶん、僕らも。」
乾さん
  「うん、そうですね。
  特に、対面するもの同士ってのは、そんなに 明るさ いらないですよね。
  こういう部屋。 仮に、レストランのような場所だったりしたら、テーブルは このくらい。
  まあ、これより ちょっと明るいですよね。 もっと暗くっていいだろうし。
  顔は、もっと暗くっていいですよね。」
岡田くん
  「うんうん・・・ちょっと 一生懸命、スタッフが いま、こう、落としに(笑)」
乾さん
  「(笑)あ、ほんとだ。」
岡田くん
  「このぐらい、このぐらいですか?
  いま、でも 結構 落としましたよね、結構・・・」
乾さん
  「うん、ドンと落としたですね。」
岡田くん
  「ドンと。
  このぐらいですかね・・・」
乾さん
  「うん。」


(曲)
SNOW PATROL 『SIGNAL FIRE』
アップ・トゥ・ナウ


岡田くん
  「照明を使って、気持ちを盛り上げたり、こう、なんだろう、
  その場に合った雰囲気を作ったりっていうことは 多いですよね、でもね。」
乾さん
  「うん、そうですね。」
岡田くん
  「最近、それを覚えた・・・」
乾さん
  「照明に、そういうことまで期待するのは、
  ちょっと過大な期待のような気もするんですがね。」
岡田くん
  「ほんとですか、アハハ(笑) そっかあ・・・」
乾さん
  「照明・・・やっぱりね、一等 最初はね、英語で言うと “Useful” 使える ということが、
  照明っていうものが、人類の持ち物の中に 加わったときは、
  それで良かったわけですよね。
  で、Useful だけじゃなくって、もうちょっと求めるというと、
  “Comfortable” っていう言葉が、それから 出て来ましたよね。」
岡田くん
  「うーん。」
乾さん
  「 Comfortable ってのは、気持ち良い 居心地が良い というようなことなんで、
  でも、そういう言葉と一緒に、やっぱり 外国では、
  居心地の良さっていうものは、かなりこう、大事な側面としてますよね。」
岡田くん
  「うーん。」
乾さん
  「だから、明るさじゃないんですよ。
  明るさだけってことじゃなく、居心地がいいと。
  それで、1980年以後の ポストモダンの時代に入ってから、
  ファッションとしては、もっと 照明に面白さが欲しいと。」
岡田くん
  「うん。 面白さを求めてますよね。」
乾さん
  「何か、面白さを求めるってことが増えて来て、それは まあ、だから、
  Comfortable を超えてね “Pleasant” 」
岡田くん
  「 Pleasant 」
乾さん
  「楽しい。」
岡田くん
  「あー。」
乾さん
  「だから、Comfortable は、通常 “快適” と訳しますけど、
  Pleasant は、むしろ “快楽” ですよね。」
岡田くん
  「うーん。」
乾さん
  「多少、弊害があっても、やっぱり 面白いのがいいと。
  この頃、そういうような好みが、若い人って 多いんじゃないですか?」
岡田くん
  「多いかもしれないですよね。
  だから、80年以降ぐらいなんですかね。
  なんか、例えば デートで、ちょっと今日、女の子 来るから、ちょっと暗くしてみようかな、
  みたいなことって、昔からあんのかな。 どうなんですかね。
  照明 暗くして、ちょっと 雰囲気 作って、みたいな。」
乾さん
  「それは、日本には 無さそうですよね、昔っから。」
岡田くん
  「無さそうですよね。」
乾さん
  「ええ。 それは、西洋の好みじゃないでしょうか。」
岡田くん
  「あー。」
乾さん
  「今日、パーティーがあるから 暗くする・・・」
岡田くん
  「そういうのが、混ざって来てんですかね、日本。
  最近になって、こう、快楽を求める つったら変ですけど。」
乾さん
  「混ざってるっていうか、やっぱり 日本人は、いろんな生活環境の人が混ざってるから、
  外国暮らしをした経験のある人ってのは やっぱり、
  簡単に真似してるってな場合も あると思うんですよね。」
岡田くん
  「うーん。」
乾さん
  「だから、日本の場合は、
  相手によって 人によって、いろんなことを変えなきゃなんないってことが多くて。
  いま、何を言ってるかというと、
  日本では、例えば エレベーター 乗るんでもね、待ってて 乗るときに。
  亭主関白の人は、自分が乗っちゃうでしょ。
  西洋で、マナー やなんか学んだ人っていうのは、レディーを乗せるわけですよ。」
岡田くん
  「女性を 先に。」
乾さん
  「レディーを乗せて、After you てなかんじで行くわけですね。
  そうすると、僕らが、普通の場合に、ビルなんかの中で、
  自分が先に乗っちゃおうか、この人 乗せようかな? って、迷うことがあるわけですね。
  結局 そういうときに、
  その人が、どのくらいの 過去の経験を持ってるかってことを、推測しないといけない。
  その辺が、日本の難しいとこですね。」
岡田くん
  「うーん・・・じゃあ、あの、今回 “明かり” ということで、あの・・・」
乾さん
  「そうですね、ちょっと脱線しました・・・(笑)」
岡田くん
  「(笑)いやいや、全然 だいじょぶです。
  明かり ということで、えーと、今日のテーマは、
  “僕らにとって 心地よい照明” っていうことなんですけども、これ、なんだと思いますか。
  僕らにとって 心地よい照明 って。」
乾さん
  「心地よい照明 ってのは、抵抗がない、
  やっぱり comfortable な程度の 明るさですよね。 適度な程度の 明るさ。
  明る過ぎす 暗過ぎず、というところで。
  心地よいための条件として、眩しさなんかがあるのは良くない。 それ、一つですね。
  それから、ものを見るときだったらば、ものが ガッチリ見えなきゃいけない。
  ものが見えないとか、写り込みがあるとか。
  例えば、こんなような コードやなんかが、紙の上に写ってる なんていうのは、
  ものを見る場所としちゃ、あまり 良くないですよね。
  レストランなんかなら、適度に 食べ物が見えてて、
  相手の顔は、あんまり見えないでいいんでしょうねえ。」
岡田くん
  「うーん、場所によっては。
  場所によっても 変わるし、ってことですよね。」
乾さん
  「はい。」
岡田くん
  「探せ ってことですかね。 自分達の、こう、いい明かりっていうのを。」
乾さん
  「そうですね。」
岡田くん
  「あんまり こう、興味が無さ過ぎるってことですかね。 そういうわけでも ないですか。」
乾さん
  「日本人、興味 無いと思いますね。 明かりに対して。」
岡田くん
  「うーん。」
乾さん
  「だから、自分で操作する・・・」
岡田くん
  「調光が出来るとかですね。」
乾さん
  「例えば、調光もそうだし、こういう 机の上の照明で こう、好きなように動かして、
  自分で調節して、どこへ持って来てもいいような明かりがあっても、
  日本人は 大体、あんまり触んないですよね。」
岡田くん
  「あー、そうかもしれない。」
乾さん
  「一度 決めちゃうとね、次の日は もう、ボタン押すだけ。」
岡田くん
  「あー、そうですねえ。 一度 決めたら もう、あんま変えないですね。」
乾さん
  「そういう人が、多いですね。」
岡田くん
  「うーん。 じゃあ そういう、こう、明かりと 人が向き合って行くと、
  どう、環境や いろんなことに 変わって行くと思いますか?」
乾さん
  「明かりは、つまりは、自分を反映してるわけですよね。
  結局、その人の趣味が ストレートに出るんだと思うんですよ。
  特に、自分の部屋の場合にはね。
  それを やっぱり、もっと大事にして行かなきゃいけないんだけど、
  やっぱり もっと派手なものが多いでしょ、日本の国の中にはね。
  だから、イルミネーションなんかで、
  明かり っていうと、こういうところの 地味なこと考えないで。
  それで、イルミネーションが いま・・・」
岡田くん
  「そうですね、どこでやってる・・・」
乾さん
  「どっかで やってるなんてのは。」
岡田くん
  「そういうのは そういうので、見に行く分には いいけど、
  自分達の周りの 明るさってものに、もうちょっと 目を向けると・・・」
乾さん
  「はい。」
岡田くん
  「いろんなことが変わって行く っていうことですよね。」


(曲)
JOURNEY 『LIGHTS』 
Infinity



(対談が終わって、岡田くんの感想)

「さあ、ということで、乾さんと お話をさせてもらいましたけども、
いやあ、ね、明かり。 明かり、難しいですよね。 難しい つったら、変ですけど、
でも、僕、たまに思うんですよね。
明る過ぎるな って。 あの、東京の明かりとか。
やっぱり なんか その、街の色とか、文化の色とか、建物とか。
ま、建築は好きなので かもしれないですけど、照明も、結構 好きなので。
東京の色って 何なんだろう って、たまに思うんですよね。
こう、フランス来たなー、アメリカ来たなー とかは、すごく思うんですけど、
日本のきれいな夜景って、こうだったっけなー とか、
明るさって、これでいいのかなー とか。

自分の家の色は、やるじゃないですか。 たぶん、みんな やるんですよね。
自分の家の、こう、好きな明かりとかっていうのは、
たぶん、なんか、みんな やるとは思うんですけど。
街の明かりとか、日本て こうなんだっけなー っていうのは、すごく、
たまに思ったりするし、こう、怖くなったりもしますよね。
こん中で生きてんだ とか。
こんな明るい中で、こんな 人がいっぱいいる中で 生きてんだとか。
いい明るさとか、いい塩梅?

ちなみに、僕の家の明かりは、結構 暗いですし、
照明があるくせに、暗い っていう。 アハハ!
無駄遣いだって言われりゃあ、ものすごい無駄遣いなので、うーん。
ちょっと その、デザインに走り過ぎてると言われりゃ、走り過ぎているので。
なんか ちょっと、遊んでたりするんですよ。
ちょっと、ステンドグラス っぽいのを、扉に、オリジナルで作ったりとか、
片方の部屋 消しとけば、反射で そういう模様が、床に広がったりとか、
そういうところを 変に こだわり過ぎて(笑)
いらねえ! って言われりゃ そうはいらないですよね。 いらないんだけど、
でも、自分の好きな場所を探したかったんですよ。
この時間、こういうふうにしたら好きとか。
典型ですよね。典型な こう、なんだろう、照明を、面白く使おうっていう、典型な家なので。

願望は、やっぱ 光を上手く使う人でいたいですよね。
だから、ちょっとした光で、好きな風景だったり 好きな部屋だったり、
こういうふうにしたら きれいだなとか。
うーん、そういうのは こう、感じたいし、
そういうのを作って行きたいなっていうのは、ありますけどね。」


(曲)
JON ANDERSON 『CANDLE SONG』
Change We Must



(乾さんからの コメント)


「僕ら、子供んときはね、東京の まん真ん中に、野っ原があってね、
空地(くうち)が残ってたりして、
30番地の広場なんて、僕が よく行ってた遊び場に ありましてね、凧を揚げたりね。
だけど やっぱり、夜は、ちょっと 怖かったですね。
だから、いま、だんぜん明るくなったでしょうけど、
それだけに、子供が、夜を楽しむってことも出来なくなったんだと思うんですよ。

ザルツブルグ とかね、あるいは ブダペストとか、どっちも ドナウ川というか、
あるいは、ザルツブルグの場合は もっと上流の、分流ですけどね、
そういうものがあって、そこが暗くって、なんか 暗いものが一本、道の真ん中から抜けてて、
それで、その他の分が ある明るさを保ってるっていう、なんか、バランスの良さがありますね。
あのへんの・・・いま、そう言われて ちょっと思い出したことですね。」

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