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2009/06/07 on air 「漆器って何ですか?」                           (guest) 高尾曜さん


「こんばんは、岡田准一です。 今夜も始まりました 『Growing Reed』
この番組では、毎週一つのテーマの専門家をお呼びして、徹底的に質問。
番組の終わりには “考える葦” として、
僕も、みなさんと一緒に、成長したいと思います。

みなさんは、漆器というのを ご存じでしょうか?
湿気じゃないですよ。 “漆器”
漆器というのは、漆を使った工芸品のことです。
味噌汁の お椀とか お重とかですよね。
漆の語源は、“うるわし” とも “うるおし” とも言われていて、
濡れたように艶やかなのが 特徴ですよね。

さて、その漆器ですが、
実は、英語では “japan ware”
または、単に、“japan” と呼ばれています。
小文字で “japan” というと、こういう意味みたいですね。
かつて、ヨーロッパでは、漆器とは、日本を代表する工芸品、
“日本そのもの” と言われていたんですね。
ちなみに、ご飯や丼の茶碗に使われる 陶磁器は、“china” と呼ばれてるそうです。

そんな、日本を代表する工芸品である漆器のことを、
僕らは いったい、どのぐらい知ってるんでしょうか。

そこで、今日は、漆塗りの 漆器。 濡れたように輝く漆器について、
若き研究家の、高尾曜さんに、お話を お伺いしたいと思います。

J-WAVE 『Growing Reed』
新しい一週間、最初の60分。 ぜひ、一緒にお付き合いください。」



(岡田くんの 曲紹介)
「空を眺めていると、
一枚の絵画が 様々に形を変えながら、本物の風景と 変わって行くかのよう。
内側に溜め込んでいては、何もかも見逃してしまう。
FINE FRENZY 『COME ON,COME OUT』」
海からの贈りもの


岡田くん
  「いま、目の前に、たくさん並べていただきましたけど、
  これは、ちょっと 紹介してもらっていいですか?」
高尾さん
  「今日は ちょっと、所有者の方から お借りして、持って来たんですけれども。」
岡田くん
  「はい。」
高尾さん
  「飯塚 桃葉(いいづか とうよう) という、江戸時代中期の名工が作った “香盆”
  お香を焚くための 香炉を載せる お盆。
  それから、印籠を二つ 持って来たんですが。」
岡田くん
  「これは・・・でも、思ってた漆器よりも 細かくて、繊細なかんじがしますね。」
高尾さん
  「そうですね。 これは、漆器の中でも、最高峰と言っていいぐらいの物ですので。」
岡田くん
  「ほぉー。
  これ ちなみに、下世話な話ですけど、おいくらぐらい するんですか?」
高尾さん
  「もう・・・計り知れないぐらいですね。」
岡田くん
  「えー! 計り知れない・・・どんな なんだろう。
  ウン千万とか します?」
高尾さん
  「ですね。 そこまで行かない、かもしれませんが。」
岡田くん
  「ウン百万とか。 一個で。」
高尾さん
  「そうですね。」
岡田くん
  「これ、ちょっと、ガードマン付けて帰った方が いいんじゃないですか?
  普通に、なんか、入って来ましたけど(笑) そんな、高いもん持って。
  綺麗ですもんね。 これ、みんな、ラジオだから ちょっと見せられないんですけど。
  これ、蒔絵っていうタイプですか?」
高尾さん
  「そうですね。 蒔絵です。」
岡田くん
  「蒔絵って。 なんかこう、お盆みたいのに、絵が描いてあるんですね。
  色味とか、光り方とか。
  ちょっと、手袋みたいの無いと、触れないなあ・・・これ、でも、すごいですよね。
  そもそも、ものすごく、まあ、同世代というか、若く見えるんですけど、
  なぜ、漆器に、なんだろう、研究に入られたんですか?」
高尾さん
  「私は、もともと、漆のものが好きだったんですが、
  作者のことについて調べようと思った時に、
  あまり、その当時、文献というか、参考書が無かったんですね。」
岡田くん
  「はい。」
高尾さん
  「それで、特に、作者について、ほとんど資料が無かったんで、
  ちょっと、それを調べてみたら、いろんな発見があったんですね。」
岡田くん
  「どういう。 どういう 発見ですか?」
高尾さん
  「例えば、ある作品に、作者の名前が書いてあったとして、
  それを調べようと思ったときに、何も無かったんですが、
  いろいろ、掘り下げて行くと、その人が どういう人だったのか っていうことが、
  どんどん、いろいろ わかって来たんですね。
  そういうことを しているうちに、
  これはもう楽しくてしょうがない、というふうになったのと、それから、
  いま、何もわからなかったら、100年後、全くわからなくなってしまうので、
  それは、誰か やっとかなきゃいけない仕事だろうから、
  やってみようか という気になったわけですね。」
岡田くん
  「うーん・・・さすが、なんか、研究者ってかんじですもんね。」
高尾さん
  「いえいえ(笑)」
岡田くん
  「これ。 これは、誰でしたっけ? 作者は。」
高尾さん
  「それが、飯塚桃葉。」
岡田くん
  「飯塚桃葉さんは、どういうかんじの人だったんですか?」
高尾さん
  「これは、職人肌の人だったんですね。」
岡田くん
  「へぇー。」
高尾さん
  「専門は、印籠を作る人なんですけども、
  あるとき、徳島の お殿様が、自分の下駄に蒔絵をするように、」
岡田くん
  「下駄に・・・」
高尾さん  
  「はい。」
岡田くん
  「漆、塗って。」
高尾さん
  「漆、塗って、そこに、水草を蒔絵しろ っていうふうに・・・」
岡田くん
  「水草の絵を描け と。」
高尾さん
  「ええ。 家来に、注文させに行ったわけですね。
  そしたら、その、飯塚桃葉さんは。 ま、その当時、桃葉とは言わないんですけど。」
岡田くん
  「うん。」
高尾さん
  「自分の蒔絵は、印籠とか、大事なものにするもんであって、下駄なんかに蒔絵はしない
  って言ったんですね。」
岡田くん
  「殿様に 向かって・・・普通は、言えないですよね。」
高尾さん
  「家来に向かってですね。
  で、それを、使者が帰って、お殿様に言上したら、
  『それは、職人ながら、なかなか感心である』 と言って、
  逆に、自分専属の蒔絵師として、召し抱えたんですね。」
岡田くん
  「ほおー・・・職人気質の。」
高尾さん
  「職人気質です。」
岡田くん
  「お殿様、誰だったんですか?」
高尾さん
  「それは、徳島の、蜂須賀重喜という人なんですけれどもね。」
岡田くん
  「はー・・・そういう歴史をね、知れるっていうのも ありますよね。
  これ、触っちゃダメですよね。」
高尾さん
  「あぁ、触ってもいいですよ。」
岡田くん
  「ほんとですか!
  ああっ! 綺麗だなあ・・・これ、いつ時代ですか?」
高尾さん
  「それは、江戸時代中期で、1780年ぐらいですね。」
岡田くん
  「1780年。 これは、どうやって作ってるんですか? 漆器って。
  そもそも、漆塗りってのは 習うし、
  なんか、昔話とかで、漆を おじいちゃんが、なんかやってて、かぶれて どうのこうの、
  みたいな話は、よくあるじゃないですか。
  そこから、僕ら、すいません、あんまり知らないというか、漆塗りの技法とか・・・」
高尾さん
  「漆っていうのは、漆の木っていう、木から採れる 樹液なんですよね。」
岡田くん
  「はい。」
高尾さん
  「それを、塗料として使うわけなんですけれども、
  今日は、いろいろ、制作道具を持って来たんですけども。」
(制作道具を、並べている音)
岡田くん
  「あっ、すごい、細かい・・・全部、ペンとか、ペンみたいな・・・」
高尾さん
  「それが、刷毛ですね。」
岡田くん
  「刷毛ですねえ。 へぇー、こんな刷毛で・・・」
高尾さん
  「そんな刷毛で、こんなものが作れるのかってかんじですけど、
  ま、上塗りに使ったりするのは、この、彩刷毛(だみばけ)っていう。」
岡田くん
  「彩刷毛。 ちょっとね、割り箸っぽい刷毛と、細い刷毛が2本あって。
  これで、書くんですか? これ、絵を描くんですか? 蒔絵。」
高尾さん
  「これは、塗りですね。 蒔絵っていうのは、筆でやる仕事なんですね。」
岡田くん
  「塗るんですか?」
高尾さん
  「筆に 漆を付けて、描くんですね。」
岡田くん
  「この色味は、どうやって出すんですか?」
高尾さん  
  「それは、金粉の色ですねぇ。」
岡田くん
  「金粉で・・・これ、なんだろう、単純なこと、取れないのかな?」
高尾さん
  「取れないんですねぇ。 それが、ま、ここに、見本を持って来たんですけど、
  一番 基本的な 漆の技法で、平蒔絵(ひらまきえ)という方法なんですけど、
  絵漆という、漆に 赤い顔料を混ぜてるんですけれども、それで 描くんですね。
  順番に、やってあるんですけども、まず、漆で線を描いて、そこに金粉を蒔くんですね。
  蒔くから “蒔絵” なんですけれども。」
岡田くん
  「うんうん。」
高尾さん
  「その、蒔くっていうのは。 金粉が、まず、どうなってるかっていうと・・・」
岡田くん
  「うん・・・」
(カサカサ、金粉を出す音)
岡田くん
  「おっ! 出て来た。
  すっごい、なんかこう、なんだろう。 紙の・・・袋に入ってる・・・金粉は。」
高尾さん
  「金粉は・・・」
岡田くん
  「わっ! 細かい金粉ですね! 」
高尾さん
  「こういう細かいのを、綿に付けて、こう、蒔くんですね。」
岡田くん
  「で、隙間に入れて行くっていうことですか?」
高尾さん
  「漆は、湿った状態になってるので、固まってないので、
  上に 載っかって行くようなかんじですね。」
岡田くん
  「うーん。」
高尾さん
  「パラパラパラと、蒔かれて。」
岡田くん
  「それで、絵を作って行くってことですね。
  すごい、難しい技法ですね。」
高尾さん
  「大変なことですね。」


(曲)
STING 『A THOUSAND YEARS』
All This Time


岡田くん
  「目の前に、いろんな道具がありますけど、説明してもらってもいいですか?」
高尾さん
  「まず、この 刷毛っていうのは、漆を 塗る時の刷毛ですね。」
岡田くん
  「はい。」
高尾さん
  「これは、女性の髪の毛で作って、それを、板に挟んでるんですね。」
岡田くん
  「うわっ! 女性の髪が、一番いいんですか?」
高尾さん
  「はい。」
岡田くん
  「男じゃ、駄目ですか?」
高尾さん
  「男よりは、女性の方が、やっぱり 真っ直ぐですから。」
岡田くん
  「ほぉー(笑)真っ直ぐなね。 これは、女性の髪の毛。」
高尾さん
  「はい。 それを、板に挟んで、鉛筆を削るように、先を削ってあるんです。
  それを、削って行くと どこまででも先・・・」
(ガタッっという音)
岡田くん
  「アアゥッ!! ごめんなさい! 落としちゃった・・・
  これも、高そうですよね。」
高尾さん
  「刷毛も、なかなか、大変ですよ。 筆は、もっと 高いですけれども。」
岡田くん
  「こっちの筆は、何ですか?」
高尾さん
  「それは、ネズミの毛で 作ってあるんですね。」
岡田くん
  「ネズミの毛で・・・
  他の動物じゃ、駄目なんですか? 猫とか。」
高尾さん 
  「猫とか、タヌキもありますが、ネズミが 一番いいんですね。」
岡田くん
  「描きやすいんですか。」
高尾さん
  「はい。」
岡田くん
  「ほっそいですもんね。 すっごい細くて、これが、ま、
  道具に、やっぱり、こだわりますよね。」
高尾さん
  「そうですねぇ。」
岡田くん
  「伝統な物っていうのは。」
高尾さん
  「ええ。 いい線を描くためには、いい筆を使わなきゃならないですね。」
岡田くん
  「これも、金じゃないですか。」
高尾さん
  「はい。 これは、梨地粉(なしじふん)という金粉で。」
岡田くん
  「これは、金ぽい金ですねー。 ものすごい金だなあ・・・」
高尾さん
  「こういう、大きい金粉を蒔くときは、その、いま持ってるような、
  粉筒(ふんづつ)というのを使うんですね。」
岡田くん
  「粉筒。」
高尾さん
  「はい。」
岡田くん
  「粉筒の説明が、しづらいなあ・・・ラジオで、どうやって、説明しようかなー。
  穴が開いた、こう、丸い木に、こう、なんだろう、
  メッシュみたいなのが、こう、出口に貼ってて、
  で、入口に入れて、細かく出せるということですよね。」
高尾さん
  「そうですね。 調節できるんですね。」
岡田くん
  「調節できる。 これ、太いストロー・・・太いストローの先に、えーと、
  メッシュみたいなのが あってて、細かく ポンポンポンと叩きながら出す?
  伝わったかなあ・・・」



岡田くん
  「でも、ほんと、伝統工芸ですよね。」
高尾さん
  「はい。」
岡田くん
  「 “japan” て呼ばれるんですよね。 アメリカでは。」
高尾さん
  「えー、正確に言うと、イギリスで “japan” と呼ばれた時代があった、
  というのが正しいんですね。
  いま “japan” と言っても、通じません。」
岡田くん
  「へーぇ。 “japan” といえば、漆器だったんですね。」
高尾さん  
  「はい。 そういう時代があったと。」
岡田くん
  「へーぇ・・・いつ頃から、ヨーロッパに、知られ出すんですか?」
高尾さん
  「大航海時代に、ヨーロッパから、日本に来たわけですね。
  そして、日本の文化というものを知って、初めて、日本の漆器を見て、
  黒い漆の 美しさを知って、
  で、それを、自分達の国でも使いたいということで、日本から輸出してもらって、
  それを使うようになってからですね。 ヨーロッパ人が。」
岡田くん
  「ちょっと、モダンな かんじがしたのかな? なんなんでしょうねえ。」
高尾さん
  「そうですね。
  キリスト教の ミサに使うような道具に、その蒔絵を使ったりしたんですね。」
岡田くん
  「はーぁ。 じゃあ、歴史的にも、結構・・・」
高尾さん
  「ありますね。」
岡田くん
  「あるんですね。  
  日本では、どうやって生まれたんですか? 日本発信ですか? これ。」
高尾さん
  「漆は、湿度が高くて、漆の木が 自生して、漆を掻くことが出来て、
  で、湿度があって、漆が乾くような場所であれば、
  漆の文化が発達する要素っていうのは、揃うわけですね。
  それは、日本だけじゃなくて、朝鮮半島にもあり、中国にもあり、
  タイですとか、ミャンマーですとか、ブータンなんかにも あります。」
岡田くん
  「アジア圏内には・・・」
高尾さん
  「あります。」
岡田くん
  「結構あるんですね。」
高尾さん
  「ええ。」
岡田くん
  「日本から始まったわけでは ないんですか?」
高尾さん
  「まあ、なかなか そこは、はっきりしないんですけども、
  いまんところ、一番 古いのは、
  日本の縄文時代の遺跡から出たものということに なっています。」
岡田くん
  「縄文から、やってんですか?」
高尾さん
  「そうですね。」
岡田くん
  「結構、古いですね。 オレ、明治ぐらいかと思ってた。」
高尾さん
  「いえいえ。 はい。」
岡田くん
  「じゃあ、誰が やったかは、全く わかんないんですか。」
高尾さん
  「そうですね。 ですから、漆って いうものが・・・
  漆には、接着力があるんですよね。」
岡田くん
  「うーん。」
高尾さん
  「で、接着剤になって、なおかつ、塗り物として、塗料になるっていうことを、
  人間が知ったときから、始まった。」
岡田くん
  「縄文ぐらいから・・・」
高尾さん
  「はい。」
岡田くん
  「補強のために、塗ってたんですか?」
高尾さん
  「ですね。 それも ありますし、
  それが、何か 顔料とか混ぜると、美しい色を発色して、なおかつ、長持ちする。」
岡田くん
  「うーん。」
高尾さん
  「長持ちするからこそ、縄文時代に塗った物が、出土しても、いまでも 残っていると。」
岡田くん
  「うーん・・・なんだろう?
  そんなに こう、ぶっちゃけ、そんなに知らなかった と言うと、申し訳ないんですけど、
  “漆器” って、こう、言われたときに、漆っていうのは わかるんですけど、
  あんまり知られてない、っていうのは ないですか?」
高尾さん
  「知られてないですねえ。 日本人の生活から、ずいぶん遠くなってしまってますねえ。」
岡田くん
  「いま、どうなんですかねえ?
  日本人の心 っていうかんじですか? 漆器っていうのは。」
高尾さん
  「もともとは、そうだったはずですねえ。」
岡田くん
  「漆器の良さを、教えてもらいたいんですよ。
  漆器が 好きになりたいんです。」
高尾さん
  「手近なところで言えば、お椀ですよね。」
岡田くん
  「お椀。」
高尾さん  
  「もともと、実は、日本人ていうのは、ご飯 食べるのも、お味噌汁 飲むのも、
  みんな、漆の お椀だったんですよ。」
岡田くん
  「うんうん。」
高尾さん
  「いま、磁器に、取って代わられてしまいましたけど、
  元々は “四つ椀” て言って、飯椀(めしわん) ていうのが あったんですね。」
岡田くん
  「飯椀。」
高尾さん  
  「ご飯茶椀ていう言葉が出来て、
  飯椀ていう言葉が 死語になってしまったんですけども。」
岡田くん
  「もともと、飯椀だった・・・」
高尾さん
  「飯椀なんですよ。
  飯椀、汁椀、あと、おかずを入れる 壺椀、平椀ていうのが、
  4つでセットになるんですけど、
  ですから、ご飯を食べるにも、漆の、漆器の お椀で食べてたんです。」
岡田くん
  「うんうん。」
高尾さん
  「江戸時代も そうですし、明治の初めも そうですし。」
岡田くん
  「みんな、漆で・・・」
高尾さん
  「みんな、そうだったんです。」
岡田くん
  「安かったんですか?」
高尾さん
  「安くは ないですね。」
岡田くん
  「みんな、使えたんですか?」
高尾さん  
  「ですから、江戸時代より前になると、木のお椀なんですね、庶民は。
  漆が使えるようになると、庶民の層まで 降りて来るようになるのが、
  江戸時代なんですけれども。 それ以前は、木の お椀。 庶民は ですね。
  それは、漆 自体が、ものすごく高い塗料ですから、なかなか、そういう、
  庶民まで 行き渡るのには、時間がかかったわけですね。」
岡田くん
  「いまは、どうなんですかね? 本物に あてるには、高いですよね。
  これが、いま、目の前にあるのが、ウン千万 するかもしれないですし。」
高尾さん
  「そうですね。」
岡田くん
  「ピンキリですか?」
高尾さん
  「まず、いいものを作れば 作ろうと思うほど、高くなるんです。」
岡田くん
  「うん。」
高尾さん
  「いい漆を使えば、その分、高くなりますし、いい仕事をすれば、高くなる。
  でも、決して それが、ほんとに高いかって言うと・・・長持ちするんですね。」
岡田くん
  「あー。」
高尾さん
  「一生使おうと思えば、決して 高いとは思わない。」
岡田くん
  「そうですよね。 これも、だから、何百年て もってるわけですね。
  綺麗ですもんね。 何百年もっても。」
高尾さん
  「ええ。 使い方さえ 気をつければ、
  自分の一生どころか、孫子の代まで 使えるわけです。」
岡田くん
  「それに、僕、弱いですよ。 それ、弱いんですよねえ。 なんかこう、
  『お父さん達が使ってたものだよ』 みたいなね。」
高尾さん
  「ええ。 それで、もし、傷んだとしても、また塗れば 使えるわけですね。」
岡田くん
  「また、塗っちゃうんですか。 上から?」
高尾さん
  「こういうものは、もう 塗れないですよ、もちろん。
  例えば、お椀だったら そういうこともあるし、
  そうやって、いままで、日本人ていうのは、ずっと 使って来たんですね。」
岡田くん
  「はい。」
高尾さん
  「重箱なんかでも、角が痛んだりすれば、そうやって、
  それを修理して、ずうっと使って来た。」
岡田くん
  「うーん。」
高尾さん
  「ここまで、いい物ですと、もう、大事にされてるから、その必要もないんですけども、
  ある程度、日常使う お椀ですとか、重箱ですとか、そういった物は、
  ずっと 日本人は、修理しながら 使って来たんですよね。」
岡田くん
  「職人さんたちは、いまでも、いっぱい いるんですか?」
高尾さん
  「職人さんは、産地がありますから、人数は 結構います。」
岡田くん
  「いい物 作る人達も、たくさんいる・・・」
高尾さん
  「いい物 作る人は、少ないですね。」
岡田くん
  「何人ぐらいいますか?」
高尾さん
  「なかなか 難しいですね、人数は。」
岡田くん
  「結構、いなくなっちゃってますか? やっぱり。」
高尾さん
  「そうですね。」
岡田くん
  「伝統工芸になると、やっぱりこう、ねえ、
  伝承して行かなきゃいけないわけですよね。」
高尾さん
  「ええ。」
岡田くん
  「難しくなって来ちゃいますよね。」
高尾さん
  「とくに、若い人が いないですね。」
岡田くん
  「若い人ねえ・・・どうしましょうかねえ。
  残したい心 ですよね。
  このまま行くと 無くなるっていう可能性は、あるんですか?」
高尾さん
  「無くなりますよ。
  もう、30代が非常に少なくて、20代が、もう ほどんどいないような状態ですから。」
岡田くん
  「あー・・・」
高尾さん
  「あと、30年経ったら、滅んでしまいますね。」
岡田くん
  「ヤバイじゃないですか。 伝統工芸を。
  失くしちゃいけないものですよね。」
高尾さん
  「ええ。」


(曲)
GURU FEAT.DAVID SANBORN 『LIVING LEGEND』
Jazzmatazz, Vol. 4: The Hip Hop Jazz Messenger: Back to the Future


岡田くん
  「美意識的には、どういうものなんでしょうか?
  やっぱ、日本の伝統だから、ちょっとこう、ねえ、なんか あの、
  谷崎潤一郎さんが、
  『陰影を好む 日本の精神性に、暗闇で濡れたように輝く漆器が あった』
  っていうような記述とかも あるわけじゃないですか。」
高尾さん
  「そうですね。 基本的に、漆 自体は、紫外線には弱いんですね。  
  太陽の光には、弱いんですよ。 だから、当然、室内でないと。」
岡田くん
  「うーん。 合わない。」
高尾さん
  「劣化してしましますから。」
岡田くん
  「室内でも、ねえ。 ロウソクの光に合うとか、そういうのもあるんですよね。」
高尾さん
  「そうですね。 蛍光灯の、いまの世の中には、なかなか合わないですよね。
  ここは、白熱灯ですから。」
岡田くん
  「うん。」
高尾さん
  「より、漆器が、美しく見えますよね。」
岡田くん
  「こうねえ。 いや、だからこう、光が、すごい大事なんだろうなあと思うんですよ。」
高尾さん
  「そうですねえ。」
岡田くん
  「蛍光灯より、やっぱり、いまのかんじだと、すごく輝いて見えるというか。
  これ、だから、真っ暗にして、こう、真っ黒の 漆塗りのやつでも、
  ロウソクの光で見たら、綺麗かもしれないし、
  そういうのは、日本人が好んだものだったりするわけじゃないですか。」
高尾さん
  「好んだでしょうねえ。」
岡田くん
  「だから、なんかなあ・・・いまとは ちょっとねえ。
  いまの楽しみ方って、どうやって楽しめんのかなぁと思って。」
高尾さん
  「やっぱり、蛍光灯よりは、こういった白熱灯の方が、やっぱり、
  美しく見えますよね。」
岡田くん
  「うーん。 見てもらいたいですよね。 たくさんの人に。」
高尾さん
  「そうですねえ。」
岡田くん
  「そういうふうに。」
高尾さん
  「ええ。」
岡田くん
  「でも、やっぱり、漆器を鑑賞するには、どこが一番いいんですか?」
高尾さん
  「常に、展示してるところとしては、国立博物館がありますね。」
岡田くん
  「国立博物館。」
高尾さん
  「東京と、京都と、九州の国立博物館では、常設展示で、常に、漆器が展示されてます。」
岡田くん  
  「最高な物がありますか?」
高尾さん
  「最高な物が、常にあります。」
岡田くん
  「どれが、最高の物と されてるんですか? いま、漆器界では、これが一番、
  『ここで観るこれが、一番 値段が高くて 国宝級だよ』みたいな。 」
高尾さん
  「国宝は、いっぱいあるんですよね(笑)」
岡田くん
  「そうですよね。 みんな、国宝ですよね。
  『どれ見とけ!』 みたいな。 『これは最高ですよ!』 みたいな。」
高尾さん
  「難しいですねー・・・」
岡田くん
  「作者、この人で、みたいな。 好きな人でもいいですよ、高尾さんが。」
高尾さん
  「私が好きなのは、原 羊遊斎(はら ようゆうさい)という人ですとか、
  柴田 是真(しばた ぜしん)という、江戸の終わりの頃の人ですけれども、
  それ以外にも、もちろん、いままで、漆で いい物と されて来たのは、
  平安時代、鎌倉時代から、いろんな物があります。
  国立博物館に行くと、それが、ずっと、見れるわけですよね。」
岡田くん
  「誰々が使ったとか。」
高尾さん
  「誰々が使った、誰々が奉納した。
  なかなか、作った人っていうのは わからないんですね。
  作った人が わかるようになるのは、江戸時代の話なんですね。」
岡田くん
  「へーぇ。 それ以前の人は、わからない。」
高尾さん  
  「わからないですね。」
岡田くん
  「はーぁ・・・  
  綺麗な黒ですね、また、これ。 何年前のやつですか? 」
高尾さん
  「250年は経ってますね。」
岡田くん
  「すごいなあ・・・
  250年前の物で、こんなにキズがなくて、真っ黒に映えてるって、すごいですよね。」
高尾さん
  「大事にすれば、いくらでも もつんですよ。」
岡田くん
  「あー、漆っていうのは・・・」
高尾さん
  「ええ。 250年経って こうですから、あと200年経っても、大丈夫そうでしょう。」
岡田くん
  「綺麗ですよね。 ものすごい 新品そうですけど、どうやって、きれいに保つんですか?」
高尾さん
  「湿度が あるところで・・・」
岡田くん  
  「じゃあ、日本には 向いてるんですね。」
高尾さん
  「そうですね。 はい。 だから、これを ヨーロッパに持ってくと、
  まず、紫外線にやられて、乾燥にやられて、で、艶が無くなってしまうんです。」
岡田くん
  「しょっちゅう、磨くんですか? お手入れとか。」
高尾さん
  「向こうではですね、漆で修理することが出来ませんので、オイルを塗るんですね。」
岡田くん
  「オイルを。」
高尾さん
  「ええ。」
岡田くん
  「そうなると?」
高尾さん
  「ほんとは、やってはいけないこと なんです。 オイル自体が、劣化してしまいますから。
  漆は、劣化しないんです。 漆は、劣化しても、表面だけのことですから。
  ほんとは、オイルって、塗っちゃいけないんですよ。
  劣化したところに オイルを塗ると、オイルが どんどん染み込んで来ますから、
  漆を、どんどん 痛めて行くんですね。」
岡田くん
  「うーん。 でも、海外では、やっちゃうと。」
高尾さん
  「海外では、それしか 方法がなかったんですね。」
岡田くん
  「はーぁ。 漆がねえ・・・
  いい物 買いたいときは、どこに売ってるんですか?」
高尾さん
  「お椀なんかは、漆器屋さんなんかにも売ってますし、デパート行っても ありますし、
  ただ、なかなか難しいのは、
  表面だけ見てても、その中の仕事、どれだけやってるか わからないんですね。
  一層下に、どれだけ ちゃんとした仕事をしてあるかは、わかりませんから。
  まあ、お店で、売ってる人と相談・・・お話を聞いて、
  その人が、ほんとに信用出来るかどうかも よく見極めて。 人も見ないと いけない。」
岡田くん
  「漆器を作る、その、ひと塗り目、ふた塗り目みたいなのも、大事になって来るんですか?
  プロセスって、どうやって作って行くんですか?」
高尾さん  
  「まず、漆器は、
  “木地” と “塗り”と、それから、蒔絵みたいな飾りの部分の “加飾” という、
  大きく 三つに分かれるんですね。
  で、木地は、木の原木から、
  例えば、お椀だったら 挽物(ひきもの)っていうんですけど、
  轆轤(ろくろ)を回転させて、削っていくんですね。」
岡田くん
  「はい。 木の お椀を。」
高尾さん
  「そうですね。
  まあ、掻くところからね。 漆 採るところから、始まるんですね。」
岡田くん
  「うーん。 漆を採るところから。 木から。」
高尾さん
  「木から、採るんですよ。」
岡田くん
  「そもそも、漆って、どうやって採れるんですか?」
(ガサガサと 写真を 取り出す音)
岡田くん
  「あっ、来た!」
高尾さん
  「それ、私が、茨城で、漆 掻いてるところですけれども。」
岡田くん
  「へえー。あー・・・これは、どうやって 採ってるんですか? 木に・・・」
高尾さん
  「キズを付けて、そこから 漆が溢れ出すのを 採るんですね。」
岡田くん
  「樹液ってことですか?」
高尾さん
  「樹液です。」
岡田くん
  「はあー・・・なんも混ぜないんですか。」
高尾さん
  「それを、精製。 ま、ゴミとかを 取りますよね。」
岡田くん
  「取るだけですか? じゃ、純粋な 樹液みたいな・・・」
高尾さん
  「ていうのは・・・」
(写真を広げているような音)
岡田くん
  「漆の木から生える 樹液?」
高尾さん
  「そのままだと、こういう ベージュ色なんですよね。」
岡田くん
  「あー・・・」
高尾さん
  「こんな感じの色です。」
岡田くん
  「ベージュの色。 あ、もともと ベージュなんですね。」
高尾さん
  「ええ。」
岡田くん
  「ほんとに、こんときは、まだ 樹液だっていうことですね。」
高尾さん
  「ええ。 これが、空気に触れると、茶色くなるんです。」
岡田くん
  「おー・・・
  『木の育成という、10年以上に及ぶ 気長な仕事があって』
  そっか、木を、まず 育てなきゃいけないんですね。」
高尾さん
  「木が育つのに、漆を掻けるようになるのに、まず、10年かかるんですよ。」
岡田くん
  「うんうんうん。」
高尾さん
  「木が、成長するのにね。」
岡田くん
  「で、樹液が出て、で、どうやって? 精製されて?」
高尾さん
  「ま、それを集めて、ゴミを取って・・・」
岡田くん
  「ゴミ 取って。」
高尾さん
  「それから “なやし” と “くろめ” っていうのが あるんですね。
  なやし っていうのが、木を均一にするんですね。 かき混ぜて。」
岡田くん
  「あー。」
高尾さん
  「で、くろめ っていうのが、水分を飛ばす作業なんですけれども。」
岡田くん
  「おー・・・それをして、漆になる。」
高尾さん
  「漆に なるんですね。」
岡田くん
  「へぇー・・・すっごい、じゃあ、時間のかかる作業を終えて。」
高尾さん
  「そうですね。」
岡田くん
  「もう、全部、手作業ですか?」
高尾さん
  「手作業ですね。」
岡田くん
  「機械で やってるとこは ない。」
高尾さん
  「なやし は、機械のとこも ありますね。 なやし、くろめ は。」
岡田くん
  「じゃあ、ほんとに、時間をかけて作り上げて、で、木を まず 作って。」
高尾さん
  「そうですね。
  まず、樹液を採る作業。 それから、木の作業・・・」
(ガサガサ、資料を出す音)
岡田くん
  「すごい いっぱい、資料を持って来ていただいて、ありがとうございます。なんか。
  木の作業・・・」
高尾さん
  「まず。 ちょっと、戻りますけどね。」
岡田くん
  「はい。」
高尾さん
  「これ、くろめてるとこですね。」
岡田くん
  「くろめ。」
高尾さん
  「黒くなってるでしょ。」
岡田くん
  「 あー! おっきな樽の中で、かき混ぜてるんですね。黒くなるんだ。
  すっごいなあ!」


(曲)
ROLLING STONES 『PAINT IT BLACK』
Aftermath


岡田くん
  「これ、木の素材は、いろんな種類があるんですか? それとも・・・」
高尾さん
  「お椀は、欅が多いですね。」
岡田くん
  「欅のが・・・あー、いい物 使ってますよね。 欅で。」
高尾さん
  「箱なんかは、板にした物を組み立てるんですね。
  ああいった物も、板の物を組んで行くんです。」
岡田くん
  「欅とかの・・・」
高尾さん
  「これは、檜なんです。」
岡田くん
  「檜。 へぇー・・・」
高尾さん
  「それも、長い年月が経った檜を使うんですね。」
岡田くん
  「ほぉー・・・」
高尾さん
  「長い年月が経って、なおかつ、それを 長い間 乾燥させて、
  もう、変形しなくなった物を 使うんです。」
岡田くん
  「はぁー。 じゃあ、もう、ほんとに 伝統工芸というか。
  きっちり、歴史的に育まれたもので作るんですね。」
高尾さん
  「そうです。 材料も そうですし。」
岡田くん
  「材料も、そう。」
高尾さん
  「はい。」
岡田くん
  「でも、全部が そうじゃないですよね。」
高尾さん
  「全部が、そうじゃないんですね。
  そうじゃないものが、割れたりして、
  漆の価値を 落として来たっていうところも あるんですね。」
岡田くん
  「はぁー・・・本来であれば、割れにくいし・・・」
高尾さん
  「割れにくいですね。 長い間 水分を飛ばして、枯らした物。
  “枯らす” って言うんですけれども、枯れさせるっていう意味ですけれども、
  水分を無くす。」
岡田くん
  「はい。 それ、どうやったら わかるんですか?」
高尾さん
  「それは、作ってる人しか、わかんないですね。」
岡田くん
  「じゃ、僕ら、わからないってことですか? ちゃんと、聞いて・・・」
高尾さん
  「何十年か経って、傷んだら わかりますね。」
岡田くん
  「(笑)そっかあ、だから、
  ちゃんとしたとこで買わなきゃいけないっていう ことですね。」
高尾さん
  「そうですね。」
岡田くん
  「ちゃんとしたとこで、ちゃんとした作りをしていて。 あー・・・」
高尾さん
  「漆を育てるのが、それだけ大変で、採るのも、
  ま、これなんかは、この高さですから いいですけど。」
岡田くん
  「うん。」
高尾さん
  「上の方を掻こうと思ったら、梯子に登って、登ったり 降りたりして、疲れますよね。」
岡田くん
  「うーん。」
高尾さん
  「その、重労働を経て 採った樹液を使って、
  長い間、大木になるまで育てた 檜ですとか、欅を 切って、
  なおかつ、それを、長い間 乾燥させて、で、作った物に、ようやく 塗る物ですから。」
岡田くん
  「うーん。」
高尾さん
  「それは、高いのは 当然なんです。」
岡田くん
  「いくらぐらい するんです? ちなみに。 僕、すいません、買ったことがなくて。
  大体でいいです。」
高尾さん
  「お椀とかだったら・・・」
岡田くん
  「ちゃんとした物を 買うとしたら、いくらぐらい・・・」
高尾さん
  「ちゃんとした物でも、でも、2万円ぐらいとかで ありますね。」
岡田くん
  「あります?」
高尾さん
  「ええ。」
岡田くん
  「2万円から ぐらいですか?」
高尾さん
  「はい。」
岡田くん
  「ちゃんとした物が。」
高尾さん
  「はい。」
岡田くん
  「まあ、でもね、器で 2万ていうとね、普通のよりは 全然 高いですけど。」
高尾さん
  「そうですね。」
岡田くん
  「でも、ま、ちゃんとしてるものですね。」
高尾さん
  「はい。」
岡田くん
  「それで飲むと、全然。 味噌汁 飲むと、全然 変わるとか・・・」
高尾さん
  「持ったときの、伝わり方も 違いますね。  
  合成樹脂だと、もう、熱くて しょうがないですよね。」
岡田くん
  「うん。」
高尾さん
  「それが、木は 当然、間に 空気が入ってますよね。
  その分、断熱作用がありますから、程好く 熱が伝わるんですね。」
岡田くん
  「あー。」
高尾さん
  「持っただけでも、違いますし。」
岡田くん
  「本物をね、日本人の心をね、知りたいですけどねー。 日本人の心・・・うーん。
  じゃあ、日本人にとって、漆器とは 何ですか?」
高尾さん
  「日本人は、生活に使うようになって、だいたい千年ぐらい経ちますね。」
岡田くん
  「はい。」
高尾さん
  「日本人は、そういう、古い漆器を 大事に修理しながら使って来たんですよね。」
岡田くん
  「うん。」
高尾さん
  「で、また同時に、それぞれの時代に、新しい作品も 作り出して来て、
  ま、いまでも、作りだしているわけなんですけども。
  そういう、日本を代表するような工芸でありながら、
  もう、ほんとに、危機的な状況にあるんですよね。
  で、なんとかね、日本人の拠り所になるような漆器を、後に伝えて行きたいっていうのが、
  私の思いとして ありますね。」
岡田くん
  「うーん。」
高尾さん
  「なかなか、その・・・さっきも言いましたけど、
  みんながね、漆器 使いたいと思うのは、なかなか難しいと思います。
  20代、30代、生活も苦しいですし。」
岡田くん
  「(笑)」
高尾さん
  「私も、苦しいですから。」
岡田くん
  「いや、この時期ですからね。」
高尾さん
  「でも、何人かが。 何十人、何百人だと、嬉しいですけど、
  興味を持って、使いたいということが大事ですし、
  残して行きたいという心を持つっていうことが、大事ですよね。
  そういう人が、増えてくれると いいんですけれどもね。」
岡田くん
  「もっと、知ってもらうと、変わるかもしれないですね。」
高尾さん
  「そうですねえ。
  いままで、そういう努力を、あんまり して来なかったのかもしれないですね。」
岡田くん 
  「いえいえ。 高尾さんが、変えて行って下さいよ。」
高尾さん
  「変えて行きたいですねぇ。」
岡田くん
  「漆器ブームになるかもしれないですよ。」
高尾さん
  「なってほしいですねぇ。」
岡田くん
  「デザイン変えるとかは、出来るんですか?」
高尾さん
  「それは、絵を描くだけですから、なんでも描けますよ。」
岡田くん
  「なんでも出来るんだ。」
高尾さん
  「ええ。」
岡田くん
  「漆器は漆器でも、漆塗りでも、ちょっと デザインを変えるとか、そういうのは、
  伝統として、受け入れられない世界なのか、
  受け入れられてるとこも あるのか。」
高尾さん
  「もちろん、新しいデザインを取り入れて、
  その時代に合ったものを作って行くということが、大事ですよね。」
岡田くん
  「ほぉー。 漆、じゃあ、僕も 頑張って(笑)流行らせたいと思います。」
高尾さん
  「ちょっと、今度、漆の お椀で、食べてみた方がいいですね。
  あと、漆の盃で、お酒を飲むっていうのも、いいと思いますよ。」
岡田くん
  「ああー! 日本酒をね。」
高尾さん
  「ええ。」
岡田くん
  「月見しながら。」
高尾さん
  「はい。」
岡田くん
  「あー・・・」


(曲)
RACHAEL SAGE 『MOONLIGHT AND FIREFLIES』
Chandelier



(対談が終わって、岡田くんの感想)

「さあ、ということで、高尾さんと お話をさせていただきましたけど。
こーれはねえ、今日は、ぶっちゃけ、難しかったですね(笑)
漆器がねえ、奥深過ぎますよね。
ほんとに、伝統工芸なんだろうなあっていうのを、すごく思いました。

でもね、ほんとに、綺麗なんですよ。
その、ライティングによって、漆器の、こう、漆塗りが、すごい綺麗だって、
たぶん、みんな、経験したことないと思うんですよね。
蛍光灯で見るより、たぶん、ロウソクの光で見たりとか、なんかこう、反射?
僕は、最近、反射に凝ってるからかもしれないんですけど、
漆の、こう、なんか、ぼやけたかんじとか。

谷崎潤一郎とかさぁ、三島由紀夫とかさ、その時代の人達の “綺麗” っていうものって、
なんか、そういうものを言っていたんですよね。
それが、やっぱ、日本て、なんていうのかな、お歯黒とかも そうなんだと思うんですけど、
暗い中で見ると、こう、ねえ、顔が細く見えたりして、綺麗みたいな。

こう、日本の伝統の美意識って、そういう なんか、
光があるとこより、ちょっと薄暗いとこに、ロウソクの炎が、ちょっと モワって明るくて、
それに反射させた何か みたいなさ。
それで、漆が綺麗みたいなんだろうと思うんですけど。
そういう世界って、やっぱりねえ、日本の伝統だと思うし、
みんなが、こう、味わったことの無い、
そういうのもね、みんな、体験してみるといいですよね。

だから、きっと、美術館とかもね、そういうふうに 展示してたり、
こういう意味ですよ、って展示の仕方があったら、
『あっ、こんときが一番、綺麗に見えんだ』 とかね。
そういうのがあれば、もっと惹きつけられんのかなぁと思ったりもしますし。

でも、なんかこう、どうにかして 残すとかね。新しいデザインとかね。
漆塗りの携帯とかね。 漆塗りの小物とかさ。 食器類とかじゃなくて。
なんか、他にも使えるかもしれないですしね。

なんか、月が、すごい綺麗なとき、
竹が いっぱいある中、何本か、漆の竹があるみたいな。 わかんないけど。
すごい、反射して、綺麗かもって・・・
で、なんかね、こう、土台も漆で作られた、こう、
月見が出来る場所の、なんか あったりとかさ。
そういう なんかね、こういうの、もしかしたら 綺麗かもしれないし。
ラジオでは、漆 見てないから、みんな、何 言ってんだろうって思うかもしれないけど、
反射はね、意外と 綺麗だと思うんですよね。

だから、そういう、情緒があるっていうの。 そういうのは、ちょっと 大事にね して行きたい 多分、日本の文化なんだなぁ とは思います。」


(曲)
JOHN MAYER 『CLARITY』
Heavier Things



(高尾さんからの コメント)

「20代の代表のように、岡田さんと お話したんですけれども、岡田さんを はじめとして、
若い人が、漆器に興味を持ってくれると、いいと思うんですけれどもね。
私も、ホームページで、漆を みんなに知ってもらうための活動をしてますし、
同じような思いでやってる 作家さんですとか、職人さんですとか、研究者の方も、
いっぱいいます。
まずは、その、漆器を知ろうと思って、何か 調べようと思えば、
ネットでも何でも、今は、知ることが出来ますので、
そんなとこから、漆器の世界に入って来てくれる人が、出てくれるといいと思います。」



  

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