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2011/10/30 on air  「あきらめない心について教えてください」              (guest)  川口淳一郎さん


はやぶさ 世界初を実現した日本の力



はやぶさ 世界初を実現した日本の力


川口 淳一郎



(オープニング)

「こんばんは、岡田准一です。 今夜も始まりました 『Growing Reed』
この番組では、毎週 一つのテーマの専門家をお呼びして、徹底的に質問。
番組の終わりには “考える葦” として、
僕も、みなさんと一緒に、成長したいと思います。

今日のゲストは、小惑星探査機 『はやぶさ』 の、プロジェクト マネージャー を務めた、
宇宙工学者の 川口淳一郎さん です。

去年の 6月、絶体絶命ともいうべき困難を乗り越えて、地球に帰還した、
小惑星探査機 『はやぶさ』
感動を呼びましたよね。

もう・・・僕も、あのー、なんだろう、
宇宙もの、実は 好きで、
歴史と 宇宙ものの 作品は、必ずといっていいほど見る、っていうのが、
僕の中の、ちょっとした ルールがありますんで。

僕、最近も 『下町ロケット』 っていう本を 読んだばっかりなんで、
ちょっと それに、頑張ってる企業の話とか 聞きたいな、っていう方向に、
心が動いていますけども(笑)
今日は、そういうとこじゃないので、あの・・・いろいろ聞いていきたいなと(笑)思っていますが。

やっぱ 宇宙はね、やっぱ ロマンなんですよね。
と、夢と 未来がある、っていうふうに、僕は思っていますので、ぜひ、みなさんも・・・
そういうとこ お聞きして(笑)
聴いていただけたらいいと思いますけど。

今年、映画化も されました。
それだけ、ドラマティックな エピソードが、たくさんあった ということだと思います。
そんな 『はやぶさ』 の、生みの親の お一人が、川口淳一郎さん。
いったい、現場では、どんなことが起きていたのか。

“あきらめない心について教えてください” というテーマで、
お話を お伺いしたいと思います。

J-WAVE 『Growing Reed』
新しい一週間、最初の60分。 ぜひ、一緒に お付き合いください」



(曲)
『SHINE A LITTLE LOVE』 E.L.O.
ディスカバリー


岡田くん
  「あのー、川口さん は、」
川口さん
  「はい」
岡田くん
  「 『はやぶさ』 プロジェクトでは・・・」
川口さん
  「プロジェクト マネージャー ですね」
岡田くん
  「プロジェクト マネージャー 」
川口さん
  「はい」
岡田くん
  「これは どういう、あれですか?」
川口さん
  「いわゆる その・・・社会、人文科学系でも 全部、同じなんですけどね」
岡田くん
  「はい」
川口さん
  「プロジェクト っていうのが あるとき、
  集中して、期間を決めて 取り組む、っていう活動ですよね。
  その活動を進めていくためには、
  専門の 小さな グループ、作るわけですね、小さい というか・・・
  そういう グループの活動、というのを、
  期限内に きちんと、決められた経費の中で、っていうか、
  決められた スタッフの中で、やり遂げる、っていうための、
  そういう、旗振り役 っていうんでしょうかね。
  調整役、なんですけどね」
岡田くん
  「うーん」
川口さん
  「 『はやぶさ』 の場合には、どちらかというと、あまり、
  予算とか スケジュール っていう、一般的な話よりは、むしろ、技術的な問題ですね。
  技術も、未完成な技術、いっぱい ありますんでね。
  それを とにかく、期限内に開発して、打ち上げなければ いけない、っていう。
  これは ちょっと、矛盾してるんですね。
  新しい技術 って、いつ できるか わからない、っていうのと、
  期限内に行わなきゃ いけない、っていう、
  矛盾を解消するための仕事、っていうんでしょうね」
岡田くん
  「元々、JAXA ・・・ですか?」
川口さん
  「はい。 JAXA、っていうのは、
  2003年に、3機関が合同して出来上がった、新しい組織で、
  その前は、宇宙科学研究所 っていう、文部科学省系の 研究所なんですね」
岡田くん
  「研究所に」
川口さん
  「はい」
岡田くん
  「そっから、JAXA ・・・」
川口さん
  「そうですね。 性格は、扱ってる分野 っていうのは、
  研究所 っていうくらいですから、今は 存在してないものをやる、っていうことですよね。
  それから、調べられてないことを調べる、っていう目的ですからね」
岡田くん
  「そのときは、何を担当されてたんですか?」
川口さん
  「いろんなこと ですよ。
  『はやぶさ』 の前、っていうのも、いろんな プロジェクト が あって、
  もちろん、プロジェクトの代表を務めていたわけでは ないですけどね。
  火星の探査機も あったり、月に行くのも あったりですよね。
  実験用の宇宙船、というのも また、あって、
  そういうものを いろいろ こう、取り組んできた、っていうか・・・」
岡田くん
  「 『はやぶさ』 の プロジェクトは、
  これ、どういう流れで決まったんですか?
  この年月までに、この技術が足りない とか、
  これ、でも全部、国産のもので 飛ばしたんですか?」
川口さん
  「国産、ていうのは、言い方は 難しいんですけど、
  考え方なり 技術 っていうのは、国産なんですけど、
  使ってる部品なんかは、もう かなりのは、外国製ですよね」
岡田くん
  「うーん」
川口さん
  「これは、無理もないところが あって、
  宇宙開発 っていうのはですね、なかなか、
  例えば、秋葉原で売ってる部品を使えばできるか、っていうと、
  そういうことには、なかなか ならないんですね。
  例えば、ケース というか、パッケージが プラスティックで できてるのが、
  宇宙空間に行ったら、もう、すぐ ポロポロに なってしまいます。
  ボロボロ っていうのは、僅かでも揮発性のあるものは、ボロボロに なっていきますから、
  プラスティックでも、違うものだし、
  宇宙空間は、紫外線や 宇宙線や、そういう、いろんな放射線が 飛び交ってる環境で。
  ですから、そこで持つような材料で 作んなきゃ いけませんしね」
岡田くん
  「うん」
川口さん
  「あと、地上では、電離層とか 磁場とかで 守られている、
  地上の環境、っていうのが あるんですよ。
  宇宙区間 ていうのは、そういう、
  例えば、非常に高い エネルギー を持った 粒子というか 粒が、容赦なく ぶつかって来る。
  したがって、例えば、携帯電話でも そうですけど、
  メモリー の内容 って、書き換えられちゃうんですよね、強制的にね。
  そうなっても、なり難いもの っていうか、
  ならないような 部品を作らなきゃ いけないんですね」
岡田くん
  「うーん」
川口さん
  「でも、宇宙で使う部品の数 って、数は すごく限られてるというか、少ないですよね
  だから、それ専用に、ビジネスを っていうか、
  日本で起こそうと思っても、売る先が ほとんど無いですから、
  売れないわけで、ビジネスに ならないわけですね。
  ですから、部品は、例えば アメリカだと、たくさん 衛星 作ってるので、
  それで もう、ビジネスに なってる、と。
  そうすると、アメリカから 部品、買って来るんですね。
  それは つまり、国産 っていう意味では ないですけども、
  ただ、作ろうと思えば、もちろん 作れるとは思いますけれども。
  ですから、部品は 国産ではない と。 そういうこと ですね」
岡田くん
  「うーん」




岡田くん
  「 『はやぶさ』 は、この時期に飛ばすぞ、っていうのは、その、
  何の威信をかけて、飛ばしたんですか?」
川口さん
  「いや、威信 は ないです。 威信、ていうんでは ないですよね」
岡田くん
  「すごい大規模な、あれ ですよね?
  その・・・下世話な話ですけど、いくらぐらい かかって、飛ばすんですか?」
川口さん
  「あー、これは なかなかですね、難しい っていうのは、
  高いと感じる人と、安いと感じる人は、たくさん いるので・・・」
岡田くん
  「いや、僕の、勝手な あれですけど、宇宙へ飛ばすには、
  部品の製造とか そういうのも入れちゃうと、もっと かかると思いますけど、
  100億単位で かかってくるものなんでは と・・・」
川口さん
  「桁としては、何百億 っていう 大きさですけど」
岡田くん
  「そうですよね」
川口さん
  「何百億 っていっても せいぜい、200億・・・せいぜいと言っちゃ、失礼ですけど、
  200億・・・200何十億 っていう、大きさですよね」
岡田くん
  「うーん」
川口さん
  「いや、何と比べて、高い 安い というのは、難しいんですけど、
  宇宙関係の、他の プロジェクトに比べれば、ずっと、小型なもの ですね。
  例えば、宇宙ステーションは、1年間に 400億円、使ってますよね」
岡田くん
  「はい」
川口さん
  「 『はやぶさ』 は、10何年間で、200億円ぐらいしか使ってないですから、
  そういう比較をすると、とても 話にならないぐらい 小さいですよね」
岡田くん
  「うーん」
川口さん
  「そういう比較 っていうのは、なかなか難しいです。
  例えば、人間が乗るもの だったり、触れるものだったりすると、
  そういう意味で、非常に安全に作らなきゃ いけないので、
  当然、お金も かかるわけですしね。
  ですから、そういう比較は、難しいんですけど、
  『はやぶさ』 っていうのは、一番 大事なのはですね、
  我々が思っていたのは、技術 なんですよね。
  他の天体の試料を 地球に持って帰る っていう、たしかに、そこは その通りなんですが、
  それを可能にするためには、
  とにかく、往復の宇宙飛行が できなくては いけないんですね」
岡田くん
  「うん」
川口さん
  「往復の宇宙飛行 って、ま、月まで できますが、
  月 っていうのは、地球の引力圏の中 っていうか、難しいですけど、
  月までの距離の、そうですね、4倍か 5倍、向こうまで行くと、
  ようやく、地球の引力圏から外れるんですけど、
  ですから、月 って、十分、地球の引力圏の中なんですね。
  地球の周り、回ってますよね。
  だから、他の惑星、っていうか、
  太陽の周りを回る、他の天体に行って、戻って来る、っていう、往復の宇宙飛行をするのが、
  まぁ、これを実証というか、実際に飛ばして 示すことが、最大の目的ですね。
  将来の、人間も含めた 宇宙活動 っていうのは、
  いま こう、宇宙飛行 というか、宇宙空間に出かける といって、
  せいぜい、宇宙ステーションが回ってるのは、高度が、せいぜい 400~500キロの ところ。
  まぁ、日本でいえば、東京 大阪間ぐらいのところを飛んでるわけですよね」
岡田くん
  「はい」
川口さん
  「ですけど、地球の半径は、6400キロも あるので、
  そっから見ると、ごくごく表面をかすめてるだけなんですね。
  ですから、宇宙に行って 出かけてくる、旅行 っていうのは、
  実は、もっと違う スケールですよね、宇宙全体から見ると」
岡田くん
  「うーん」
川口さん
  「卵があったら、卵の殻の厚さ分ぐらいの 外を飛んでるだけが、
  地球の周りを回る、宇宙ステーションですから、
  もっと違う空間に、行かなければ いけない。
  そういう空間に行って、行動することが 将来は、本格化すると思ってるんですね」
岡田くん
  「うん」


(曲)
『MOON IN WATER』 UNDERWORLD
Barking [ボーナストラック・日本語解説付き国内盤] (PCDT-23)


川口さん
  「なかなか、この辺のところは、お話しすることも 少ないですけど、
  例えばですね、いま、地球上の資源 ていうのは、レアメタル って、呼んだりしますよね」
岡田くん
  「はい」
川口さん
  「レアメタル っていうのは、なかなか定義が難しいんですけど、
  その中には 例えば、重い元素とか 鉱物があるんですよ。
  例えば、携帯電話の表面に使ってる、透明の電極 っていうのは、
  インジウム っていう、鉱物が使われている」
岡田くん
  「はい」
川口さん
  「インジウムと スズの、酸化物なんですけどね。
  インジウム っていうのは、レアメタル なんですね。
  どうして レア か、っていうと、
  レア って、乏しい、っていう意味ですよね。
  地球の上には、ほとんど無い っていうか、少ない っていうことですね。
  なぜ、少ないか、っていうと、
  インジウム って、元素の周期表 っていうか、番号で見ると、
  ずうっと下の方で。
  下の方、っていうのは、重い ってことです」
岡田くん
  「うん」
川口さん
  「地球上の表面には、重いものは無いんです、基本的に。
  思い物は、沈んでしまってるんですね。
  水と油を コップの中に入れると、油が上に行って、水が下に沈みますね」
岡田くん
  「はい、重い・・・」
川口さん
  「浮力 なんですけど、浮力が働くのは、だから、
  圧力があると、浮力が働くんですね。
  ですから、地球上のもの っていうのは、
  地球の表面に あるのは、軽いもの ばっかりですね。
  地球の表面 て、基本的に、みんな ガラスの上に 乗ってるわけです。
  土、っていうのは、黒く見えますけど、石英の粒 なんですよね。
  だから、ガラスの粒なんです。
  ガラス っていうのは、比重が 2 ,いくつ っていうか、それぐらいしか ない。
  そんなもん なんですね。 3ぐらいしかない というか」
岡田くん
  「はい」
川口さん
  「で、重いものは、もっと下へ 沈んでしまってるわけですね。
  ですから、インジウム とかっていうのは、地球の表面には 無いわけですから。
  ところがですね、小惑星とかに行くと、インジウム っていうのは、
  もう じゃんじゃん、表面に ある。
  小惑星は、形は小さいので、下に沈む必要は ないんですね。
  ですから 将来、人類は、遠くへ出かけて行って、
  レアメタルを採掘して 戻って来て、そして、人間の 地上の生活に 役立てる、みたいな時代が、
  おそらく 来るだろう、と」
岡田くん
  「うん」
川口さん
  「これは、だから、昔、大航海時代 っていう、
  歴史で出てきますよね。
  ヨーロッパの国が、喜望峰を回ったりですよね。 東インド会社を作ったり、っていう、
  要するに、黄金と スパイスを求めて、っていう。
  それと同じような活動 っていうのは・・・
  今すぐ、じゃないですよ」
岡田くん
  「うん」
川口さん
  「宇宙スケール、太陽スケールで、そういう時代が もう一回、来る、と。
  太陽系 大航海時代、って 我々は呼んでますけどね。
  そういう時代が、きっと来るわけですよね。
  その時に、一番 必要な技術 って、何か って いったら、これは、
  往復の宇宙飛行をすること」
岡田くん
  「戻って来る・・・」
川口さん
  「いや、往復ですよね、戻ってく」
岡田くん
  「往復・・・」
川口さん
  「ええ、そうですね、行きっぱなしじゃない ということですね。
  で、もう 一回、使った宇宙船、再使用して、もう 一回 使う、っていうことですよね」
岡田くん
  「あ、それも あったんですね」
川口さん
  「ええ。 『はやぶさ』 の最後は、大気に突っ込んで来ましたけど、
  技術的には もう、地球の周りを回る、例えばですね、まぁ 難しいけど、
  ラグランジュ ポイント、って言ったりするんですけど、
  私達は、そういう特別な場所に、将来は、港が できるだろうと思ってるんですけど、
  そういうところを使った、すごく大きい、
  太陽系 全体の中の、航路の 運航みたいな、
  まぁ そういうことが、将来は展望されるわけで、
  その時に、キー に なるものは 何か、っていうと、
  やっぱり、往復の宇宙飛行 である、と」


(曲)
『STAR BABY』 SUGIURUMN FEAT.畠山美由紀
our history is made in the night


岡田くん
  「それ、技術的には、」
川口さん
  「はい」
岡田くん
  「ギリギリ だったんですか? その・・・なんだろう」
川口さん
  「 『はやぶさ』 のことですか?」
岡田くん
  「 『はやぶさ』 のことを・・・行って、戻って来る。
  しかも その、イトカワ で 鉱物を拾って、戻って来る っていうのは、すごいこと・・・」
川口さん
  「だから、いままでは、できそうもないこと ですよね」
岡田くん
  「世界的に みても、できそうもないこと」
川口さん
  「できそうもない っていうか、それこそ 誰もが、
  歴史上も、国際的にも 歴史的にも、誰も考えたことがない っていうことですよね」
岡田くん
  「うんうん」
川口さん
  「我々が、将来、こういうことをやらなくては いけないだろう。
  そのためには、どういうふうなものを仕立てれば できるのか、っていうのを考えた、
  一つの 結論ですよね」
岡田くん
  「それは、その・・・日本の威信が あったのか、それとも 世界の、
  なんていうのかなぁ・・・」
川口さん
  「日本とか 世界とか、っていうよりは、我々、エンジニアが志す、一つの、
  新しい 考え方」
岡田くん
  「うーん」
川口さん
  「それを出そうとしてるわけですよね。
  歌を作るときに、これは 日本の威信で やってるか、って、
  そんなことは ないですよね。 同じですよね。
  新しい考え方を出す、っていうのが やっぱり、
  我々に とっては、ゴール なんですよね」
岡田くん
  「 『はやぶさ』 の・・・うーんと、
  一回、ロスト、っていうか、迷子に なりま・・・」
川口さん
  「ええ」
岡田くん
  「結構、その、『はやぶさ』 をやってるうえでの、こう、
  難しさ とか 辛さとか、っていうのは あったんですか?」
川口さん
  「まぁ 『はやぶさ』 に限らず、こういう仕事 って、そう簡単なことでは ないので、
  非常に遠方の、ある種の、自立化を高めた 機械ですよね、相手はね。
  そこと コンタクトをしながら、お互いに こう、二人三脚で 進んで行くわけですから、
  ま、難しいですよ。 手取り足取り っていうふうには、簡単に動かないし。
  単に、号令を掛ければ動く というものでも ないので」
岡田くん
  「うんうん」
川口さん
  「まぁ、いろんな お仕事されてる分野の人から見れば、
  それなりに みんな、どの分野も、いろいろ難しいわけでしてね。
  『はやぶさ』 だけが、特に 難しい、ってわけではないと思いますよね」
岡田くん
  「まぁ・・・でも、『はやぶさ』
  チャレンジ だったわけですね」
川口さん
  「ええ。 技術実証 って、我々 呼んでますけどね。
  さきほど 言った、技術を開発して、それを実際に 示してみることを目的に してるので、
  まぁ そういう、挑戦ですよね。 挑戦するのを目的に している。 それは その通りですね。
  だから、いままで できていないことをやるわけですから、困難は、当然 あります」




岡田くん
  「うーん。 その、何度も挫折とか、危機感とか、困難とか、いっぱい あったと思うんですけど」
川口さん
  「ええ」
岡田くん
  「それを こう、乗り越えてきたもの って、何だったんですか?」
川口さん
  「これはですねぇ、ま、意地 なんですね」
岡田くん
  「それは、なんの・・・技術屋の 意地ですか?」
川口さん
  「そうですね。 『はやぶさ』 の前に、いろんな プロジェクトを、
  やっぱり、たくさん携わる機会があってね。
  今の 若い人は、なかなか そういう機会、無いと思うんですね。
  ともかく、そういう機会そのものが、数が少なくなってるんで、
  ていうか、予算も どんどん、減ってますからね」
岡田くん
  「うーん」
川口さん
  「だから もう、携わること自体が、数が、
  もう、チャンスが無いうえに ですね、
  まぁ、まだ 経験は、彼らは 少ないでしょうから。
  私なんかは、だから、いくつもの プロジェクトに携わって、
  いろんな、そういう意味の 苦い経験」 
岡田くん
  「うん」
川口さん
  「世間的に いえば、失敗の ジャンルでは なくてもですね、私達自身にとってみれば、
  もっと やれたかもしれない、という部分 ていうのは、やっぱり あってね、
  それが ずっと、蓄積されてるんですよね。
  次は、こうは したくない、次は もっと、っていうふうに思うわけですよね。
  そういうものが、結局、次の プロジェクトを進めるときの、バネに なるし、
  そして、失敗が こう、成功するための バロメーター を作っていくと思うんですけどね。
  まぁ、能力 っていうのは、若い人の方がね、
  計算処理、判断能力 とか、エネルギー も バイタリティー も、全部、上ですよね。
  体力も 全部、上なんですけど、
  もし 違うところが あって、シニア っていうか、中年層というか、そういう人達が、
  もし、若い人達よりも 優れてるところが あるとすれば、
  それは、経験 ですよね」
岡田くん
  「うーん」
川口さん
  「どのぐらいのところを どのぐらい頑張らなければ いけないか、というのは、
  最初に取り組む、若い人には わからないですよ」
岡田くん
  「うん」
川口さん
  「ある意味では、形式的に こういうことを やれば、できそうだと思うかもしれないけど、
  それが どのぐらい浅くて、どのぐらい 不足なものか、というのは、
  経験を重ねてくると、なんとなく わかってくる」
岡田くん
  「うんうん」
川口さん
  「だから、次の時には、もう少し 取り組めるし、次の時は、もう少し 取り組めるし、というのが、
  だんだん、繰り返されてくるんですよね。
  『はやぶさ』 のときも、同じですね。
  行方不明になるとか、エンジンが止まるとか、ってのは あるんですけど、その時には、
  じゃあ、これで お手上げだ と思うのか、まだ 可能性がある と思うのか。
  可能性 っていうのは、どこまで やれば、可能性が見えると思うのか ですよね。  
  それが やはり、そういう 経験が バネになってるわけですよ。
  同じような、いま 一つ、というところを取り戻そう と、
  そう思う心が、次の 『はやぶさ』 であり、その プロジェクトを支えてる。
  私達自身が 許せないわけですよね。 自分達自身がね」
岡田くん
  「うーん」
川口さん
  「ここで、この・・・ただでさえ 数が少ない 経験の場ですよね。
  ここに携われてる というのは、
  携われてるということは 幸せだ、と思うんですよ。
  いろいろ 苦難に会ってるけれども、こういう場に、自分が ちゃんと、
  この仕事に 身を置けている、というのは、ほんとは 幸せなことだ と」
岡田くん
  「うん」
川口さん
  「苦労 してますよ、もちろん。
  苦労 してるんだけど、だって、それが 触れないかもしれなかったわけですよね。
  だから、そう思ったら、この経験 ていうか、
  この機会は、絶対に 活かさなくては いけない と思って。
  自分の人生にとって、そうですよね。
  もちろん、スポンサー っていう、国民にとっても、もちろん そうですよね。
  国民の税金で やってるんですから、応えていかなくては いけない。
  それも そうだし、自分達自身、自分自身が、
  それを きちんと活かさなければ いけない、ということですよね。 そう思うわけですよ。
  幸せに 甘んじてては いけない、と思うわけでね」
岡田くん
  「うん」
川口さん
  「だから、そこが やはり、次を支えてるんだと思いますね」


(曲)
『AERO』 I Hate This Place
ネバー・ゴー


岡田くん
  「なんか こう、やっぱり 『はやぶさ』 っていうと “あきらめない” とか、
  映画でも、公開をされてますけど “あきらめない心” とか、
  そういうのが こう、今 こう、出てきてると思うんですけども、
  今回、それで “あきらめない心、教えてください” っていうのが テーマで、
  お聞きしてるんですけども、
  チームのみなさんが共有していた、
  思いとか 思想とか 哲学とか、っていうのは あるんですか?」
川口さん
  「私が プロジェクトの メンバーに、やっぱり、示してきた 一つの考え方 っていうのは、
  可能性は まだある、っていう、
  もちろん そうですよね。 可能性は、もちろん ある。
  で、こういうことを調べて、こういうふうに やったら、できる ということ」
岡田くん
  「うん」
川口さん
  「プロジェクトが始まってからも、そうなんですけど、
  『はやぶさ』 が取り組んでるのは、
  前代未聞のことをやってるわけですから、例があるわけでは ない。
  模範があるわけじゃ ないんですよね。
  ただ 大事なことは、こうすれば できる、っていう、
  “やれる理由を考える” っていう、こういう文化ですよね」
岡田くん
  「うーん」
川口さん
  「いろんなことを分析してみる。
  いろいろ、ここも困難、これも困難、これも困難。
  それは、困難を挙げていっても キリがない。 終わらない話だし、
  やれない、難しい話を挙げていくと、
  結論は “できない” に なってしまう」
岡田くん
  「うん」
川口さん
  「そうじゃ ないんですよね。 そういうのは全部、目をつぶっていい、っていうわけでね。
  だから、こうやれば できるんだ、っていうことを言うこと、っていうか、
  それを示すこと っていうのが、
  考えること、っていうのが、やはり 大事なことですよね。
  聞いてる方は、ひょっとすると プロジェクトの メンバー も、
  やはり ダメかもしれない、と思うわけですけど、
  あぁ なるほど、こうやって やれば、たしかに できるのかもしれない、と思う。
  そう思ってもらうことが、全ての 出発点ですよね」
岡田くん
  「いい 現場だったんでしょうね。
  いい現場だ、って言ったら 変ですけど(笑)
  リスク マネージメント として、
  リスクが あるもの、できそうもないこと、とにかく挙げろ、って なるわけじゃないですか。
  そんなかで、じゃ できること考えよう、みたいなことを、
  どうやったら できるか、考えよう、みたいなことを おっしゃるわけですよね」
川口さん
  「そうですね。
  この プロジェクトは、いい言い方で 言えば、やっぱり その、
  “前向き” って 言うんですかね」
岡田くん
  「うーん」
川口さん
  「プロジェクトの メンバー 全員が ですよね。
  難しい理由を探す、っていうことは もう、さっさと やめてしまう ってことですよね」
岡田くん
  「やめてしまう・・・」
川口さん
  「うん。 難しい理由 って、その、
  リスク マネージメント とかっていうのは、そういうのなんですよね。
  難しい点を 一生懸命、探して歩くような話で。
  嫌いですけど、はっきり言うと、そういう言葉は(笑)」
岡田くん
  「じゃあ もう、切り捨てて 行くんですか?
  でも、それが必要だ、っていうことも あるわけですよね。
  『はやぶさ』 を飛ばすためには、これは 絶対、やらなきゃ いけない。
  でも 技術的に、例えば、足りない とか」
川口さん
  「ええ。 ものを作る、っていうか、
  『はやぶさ』 という システムを作るときには ですね、もちろん、
  どういうふうにして、機能が バックアップされてるか、みたいなことは、
  当然、設計するわけですよね。 その作業は その作業で、
  ただ、飛んでしまってから とか、困難に ぶつかってから っていうのは、
  そういうこと言っても しょうがないわけですよ」
岡田くん
  「一番、大変だったのは、どの時ですか?  
  作ってる時、飛ばす・・・できあがって 飛ばす時」
川口さん
  「どの段階でも、いろんなものがあり ですよね。
  飛ばす前は 飛ばす前で、新しいもの 作ってるわけですからね。
  さっき言ったように、存在しない技術を 期限付きで 作ってるわけですから、
  それは それで、ものすごい大変なことですよね」
岡田くん
  「その、だから、こう、前に向かって こう、まとめていくわけじゃないですか、
  でも、その、宇宙のもの って、勝手な想像ですけど、なんか こう、
  失敗が なかなか できない仕事だったりとかも するじゃないですか。
  希望は、いっぱい ありますよ。 あるし、あるだけど、例えば、
  うーん・・・あんまり 言われたくないかもしれないですけど、こう、
  税金で動いているから、失敗は なかなか、やっぱり したくないと思いま・・・
  することは できない、っていう思いも あると思うし、
  そんなかで こう、やっぱり、リスク マネージメント って言われたら、
  リスク マネージメント、嫌いだとは思いますけど、
  この部品、この部品、これを使ったら 何パーセントの確率で 飛ばすことができる とか、
  どんどん減っていく、とかっていうことも 計算していく立場に いらっしゃいますよね」
川口さん
  「ええ。 そういうのって でもね、もちろん、そういう ビジネスは、ありますよ。
  だけど、それって、それだけ やってると、
  例えば、税金 払ってる人は 満足なのか、なんですけどね。
  つまり、いろんな リスクがありますんで、
  これが足りない、これが足りないかもしれない、
  なんとなく不安だから、じゃ ちょっと、これ やめといて、
  堅い、この プロジェクト やっていきましょう。
  それを だから、10も 20も 重ねていく。それで、他のことは やらない、となったら、
  それは、税金を払ってる人から 見たときに、
  それは リスクが無いから ハッピー だった、と思えるかどうか。 そうじゃ ないんですよね。
  要するにですね、国の国民が 投資してる理由は 何か、ってことですよ」
岡田くん
  「うん」
川口さん
  「投資してる人はね、リスクの無いことをやってほしいと思ってるんじゃない。
  投資してる人は、将来が明るくなって、
  明るくて、我々が将来、安心・・・安心 っていうのは、
  物質的にも 精神的にも、安心していられる社会を作ってほしい、って、政府に ですよ。
  そう思ってるんです。 だから、その税金を そう使ってほしいんですよね」
岡田くん
  「うん」
川口さん
  「じゃ、そのためには どうしたらいいか。
  だから 且つ、これまでに無いような、そういう製品を作る とか、技術を作る。
  これまでに無い、環境問題を解決する。 エネルギー 問題を解決する。  
  それを作るには、リスクがあるかもしれない。
  そういう イノベーションに投資してほしいからですよ。
  それが、国民が投資する理由なんで、
  リスクがあるかどうか、ちゃんと調べてますか? リスクが多いもの、やってませんね?
  じゃ、そういうもの やめたらどうですか? みたいなこと、やっていくことは、
  国民は、求めてないと思いますよ」


(曲)
『ナイトクルージング』 FISHMANS
空中キャンプ


岡田くん
  「その、なんだろう、作っていく過程のときで、
  妥協も許されない、あきらめないで やっていくじゃないですか。
  あきらめないために 大事なこと って、何なんだろうな、っていうことが、
  いま、さっき、聞きたかったんですよ」
川口さん
  「あんまり そんな考え方、とったこと ないですね」
岡田くん
  「あきらめないですもんね。 あきらめないから(笑)」
川口さん
  「あきらめない、っていうことを目的にして やってることは、全然ないんで。
  やはり、目指してるのは 次の技術で。 先に繋がる、
  先に繋がる っていうのは、宇宙開発だけのこと言ってるんじゃないんですよね。
  こういうことを開いていくことが、いろんな分野を牽引してやる、っていう、
  連鎖的に、ですよね。
  やっぱり、科学技術が進歩を目指すのは、そこにあるんで、
  そして、国民が、こういう技術があることを まず、
  誇りと思えるように なるかどうか、ですね。
  そこが非常に、大事なとこですよ。 わかり難いかもしれませんけどね。
  それが だから、国として、
  国民として、我々が持ってることが 誇りに思えるなら、
  それは もう、精神的に 大きな プラスですよね」
岡田くん
  「うーん」




岡田くん
  「今回 “あきらめない心” っていうの なんですけど、こう、なんだろう、
  目の前に、できる理由が見つからない って、例えば、言ってる人がいて、
  そんとき って、どうしますか?」
川口さん
  「あの・・・探す範囲、っていうか、考える範囲が それで ほんとに、
  万策 尽きてるかどうか ですね。
  いろんな、多面な角度から、いろんな方法を考えてみる っていう、トレーニングですよね。
  新しいものを生み出す、っていう トレーニング、っていうことでも あるんですけど」
岡田くん
  「うん」
川口さん
  「ただ これは、おもいっきり、常に 思いつめてれば、思いつくか、って、
  そういうもんでは ないと思うんですね。
  いろんな プロジェクトでも、そういう着想をする っていう、
  その瞬間 っていうのは、いろいろ あったんですけど、
  多くの場合は、全然 関係ないときですよね。 解決策、っていうか、それを思うのは。
  リズムが必要ですね」
岡田くん
  「うんうん」
川口さん
  「ずっと こう、考えてる時もあれば、全く リラックスしてる時とか って、
  繰り返しの リズムがあって、
  そういうなかで 人間は、新しい考え方 って、気づくものじゃないかな と思うんですよね。
  だから、いろんな こう、悩んでしまって、壁に ぶち当たってる人は、
  壁だけ見ていたって ダメで、
  リズムを持って、違う見方をするように、
  やっぱり、気持ちを切り替えた方が、展開は開けるんじゃ ないですかね」


(曲)
『GOODBYE MILKY WAY』 ENIGMA
ア・ポウステリオーリ


川口さん
  「まぁ、私、講演会で よく言わせていただきますけどね」
岡田くん
  「はい」
川口さん
  「言い方は “技術より 根性だ” って 言ってるんですよ(笑)」
岡田くん
  「あー・・・」
川口さん
  「だから、技術 っていうものも、たしかに そうだけど、
  それに取り組む 考え方、それから 精神力。
  そういうことの方が、大事ですね と思いますよね。
  技術が 全てを解決しているか、
  そうじゃない、と」
岡田くん
  「うん」
川口さん
  「一番 大事なのは、ものの考え方。
  さっき 言ったように、技術を研ぎ澄ましていく っていうことと、
  相矛盾するように 聞こえるかも しれませんけど。
  だから、できる理由を探して、できる技術を とにかく投入して、
  できない理想のことを どんどん言うんでは ない、っていうことですよね。
  だけど そうして、出来上がったもの っていうのは、最終的に 目指してるものは もう、
  前代未聞のことを やろうとしているんだから、
  そこが報われれば、全体の ゴールは 達成されているわけですね」





(対談が終わって、岡田くんの感想)

「さあ、ということで、川口さんと お話しをさせていただきました。
いやぁ、ねえ、もう ほんとに、大変だったと思うんですよ。
プロジェクト マネージャー、ですから、ほんとに大変だったと思うんですけど。
いろいろね、新しいことに対しての 挑戦。
それが 可能なのか、不可能なのか。 ほんとに ギリギリの、
これ できる、できないんだったら、できる方向、探してくれ、って 言って、
それで もう、これは削らなきゃ いけない、とか、
いろんなこと やってきたんだと思うんですけど、まぁ ほんとに、あんまりね、
これが大変だったんだ、っていうことも おっしゃられない、
カッコいいことも ありますけどね。

でも、すごいことなんだと思うんですよ。
人類に対しての 挑戦。
いままで無かった技術。 行って 帰って来る、とか。
それを 映画とかじゃなくて、生の声で、
映画とか やってる、僕が言う言葉じゃないかも しれないですけど、あの・・・(笑)
映画とか、感動を与える とかっていうのって、じゃなくて、
ほんとに 作ってた人が、なんだろう、
この技術は、日本に誇れるんですよ、っていうものって、
なんか、生の声で、すごい聞きたくて、
なんか、ね、もっと聞き出せれば よかったな、って、正直、思ってますけど(笑)

ま、でも、あれですよね、言葉では なかなか聞けなかったですけども、
ほんとに 『はやぶさ』 が やってきたこと。
チャレンジしてきたこと。
希望 というか、未来へ向かっての、進んで行くこと。
それが なんか、うーん・・・言葉で探しても たぶん、なんか、見つかんないのかな、とも思って。
そういう、こう、やっぱ なんか、なんかの行動だったりとか、
やってきた結果、だったりとかが、
心に、胸を打つ、ってことも あるし。

だから きっと 『はやぶさ』 が やってきたこと、
川口さん達が やってきたことが、
そこに 答えがあるのかな、っていう気が しています」


(曲)
『STARMAN』 DAVID BOWIE
ジギー・スターダスト(紙ジャケット仕様)


(川口さんからの コメント)

「私が、これから 将来を見て、構想しているのは、
さっき、お話したように、
太陽系全体で運航する、航路 っていうのが 開かれる っていう時代が あって、
そういう時代を展望したときに、何を作っていくか っていう。
例えば、港を作る とか、そこを 往復して帰って来る 宇宙船、作るとか、
動力源は 何にするか、とか、そんな話ですよね。

全部、だから、そういう意味で、そこへ繋がっていく物は、いっぱい あるんで、
それに 取り組んでいくんだろうと思うんですね。
直接、そういうことを構想するには、まぁね、
それこそ、何十年とか、百年も かかるのかも しれないし、
僕は、そういう意味では、もう あれですよね、リタイア してしまって、
直接は 触れないかもしれませんけど、
そういう コンセプトを築いて、そういう活動の 出発点に なれれば、と思いますね」

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